賃貸マンション・アパートの古い給湯器を省エネ型へ交換する場合、1住戸あたり最大10万円の補助を受けられる制度があります。
経済産業省の「賃貸集合給湯省エネ2026事業」です。
既存の賃貸集合住宅に設置されている従来型給湯器を、一定の性能を満たすエコジョーズまたはエコフィールへ交換する工事を支援します。
基本額は1台あたり5万円または7万円。 さらに、一定のドレン排水工事を行う場合は3万円/台が加算されます。
2026年9月9日時点で、予算35億円に対する補助金申請額の割合は41%です。 予算上限に達すると受付終了となるため、給湯器更新を予定している賃貸オーナーは早めに確認しておきたい制度です。
賃貸集合給湯省エネ2026事業とは?
「賃貸集合給湯省エネ2026事業」は、既存賃貸集合住宅の省エネルギー化を促進するため、従来型給湯器から小型の省エネ型給湯器への交換を支援する制度です。
対象となる主な給湯器は、
- 潜熱回収型ガス給湯器「エコジョーズ」
- 潜熱回収型石油給湯機「エコフィール」
です。
賃貸マンションやアパートを所有・管理するオーナー等が、複数住戸の給湯器をまとめて更新する場合にも活用できる制度です。
1台5万円または7万円を補助
基本となる補助額は、交換する給湯器の追い焚き機能の有無によって異なります。
| 給湯器 | 追い焚き機能 | 基本補助額 |
|---|---|---|
| エコジョーズ エコフィール |
なし | 5万円/台 |
| エコジョーズ エコフィール |
あり | 7万円/台 |
補助上限は1住戸につき1台です。
条件を満たせば3万円を追加
基本額に加えて、一定のドレン排水工事を実施する場合は3万円/台が加算されます。
| 給湯器 | 加算対象工事 | 加算額 |
|---|---|---|
| 追い焚き機能なし | 共用廊下を横断するドレン排水ガイド敷設工事 | 3万円/台 |
| 追い焚き機能あり | 浴室へのドレン水排水工事 | 3万円/台 |
ただし、工事内容について細かな条件が設定されているため、単に排水工事を行えば加算されるわけではありません。
最大10万円/戸になるケース
追い焚き機能付きの省エネ型給湯器へ交換し、対象となるドレン水排水工事を行う場合、
基本額7万円 + 加算額3万円 = 最大10万円/台
となります。
補助上限は1住戸1台のため、条件を満たした場合は1住戸あたり最大10万円です。
50戸なら最大500万円になる可能性も
本制度は、対象となる給湯器の台数に応じて補助額が計算されます。
例えば、50戸すべてで追い焚き機能付き給湯器と対象となる排水工事の条件を満たした場合、
10万円 × 50戸 = 500万円
となります。
これは制度上の単価を用いた計算例です。実際の補助額は、各住戸の給湯器や工事内容、対象要件によって異なります。
対象となるのは既存の賃貸集合住宅
補助対象となる住宅は既存賃貸集合住宅です。
対象となる既存賃貸集合住宅は、
- 1棟に2戸以上の賃貸住戸がある
- 建築から1年以上経過している
または、
- いずれかの住戸で人が居住した実績がある
建物であることが必要です。
オーナー・管理法人が対象
補助対象者には、主に次の方が含まれます。
- 賃貸集合住宅を所有する個人オーナー
- 賃貸集合住宅を所有する法人
- オーナーから管理委託を受けている管理法人等
一棟を丸ごと所有している場合だけでなく、賃貸住戸を2戸以上所有する区分所有者等も含まれます。
買取再販事業者は対象外
賃貸集合住宅の所有者であっても、すべての事業者が対象になるわけではありません。
公式情報では、販売目的で賃貸集合住宅を所有する買取再販事業者は対象外とされています。
保有目的や建物の利用状況についても、申請前に確認が必要です。
新築・戸建・民泊などは対象外
次のような建物は補助対象になりません。
- 新築住宅
- 戸建住宅
- 倉庫など住宅に区分されない建物
- 特別養護老人ホーム
- 有料老人ホームなどの施設
- 民泊施設
- 専ら旅館業法の許可により運営する施設
本制度はあくまで既存の賃貸集合住宅を対象とした支援制度です。
「古い給湯器からの交換」が条件
補助対象となるのは、従来型給湯器を対象となる省エネ型給湯器へ交換する工事です。
交換前の設備がすでにエコジョーズやエコキュートなどの場合、対象にならないケースがあります。
「現在どの給湯器が設置されているか」を事前に確認することが重要です。
補助対象となるエコジョーズ
エコジョーズは、従来は燃焼排ガスとして捨てられていた熱を回収し、給湯に再利用する潜熱回収型ガス給湯器です。
本制度では、すべてのエコジョーズが対象になるわけではなく、給湯器の種類ごとに性能基準が設定されています。
事務局に補助対象製品として登録された製品を使用する必要があります。
エコフィールも対象
ガス給湯器だけではなく、潜熱回収型石油給湯機であるエコフィールも対象です。
エコフィールについても、機器の種類ごとに一定の性能要件が設定されています。
導入前には公式サイトの「補助対象製品の検索」で対象型番を確認することが重要です。
施主支給の給湯器は対象外
オーナーが給湯器だけを自ら購入し、施工業者へ取り付けを依頼する、いわゆる施主支給は補助対象になりません。
また、中古品やメーカー保証の対象外となる機器も対象外です。
給湯器の購入方法と施工契約についても、制度要件に沿った形で進める必要があります。
給湯能力を小さくする交換も対象外
交換後の給湯器は、交換前の給湯器が持つ機能を維持する必要があります。
また、交換前より能力、つまり給湯器の号数が小さい製品への交換は対象外です。
単に省エネ性能だけを確認するのではなく、
- 給湯
- 追い焚き
- 暖房
- オート・フルオート
- 給湯能力
なども確認する必要があります。
リースによる交換も対象
本制度は、オーナーが給湯器を購入して交換する方法だけでなく、リースを利用した交換も対象です。
リースを活用する場合は、所定のリース契約を締結し、リース利用タイプとして申請します。
初期投資を抑えて設備更新を進めたい賃貸オーナーにとって、選択肢の一つになります。
申請は登録事業者が行う
原則として、賃貸オーナー自身が直接補助金申請を行う制度ではありません。
「賃貸集合給湯省エネ事業者」として登録された事業者が、オーナー等と共同事業者として手続きを行います。
給湯器交換を依頼する段階で、その施工事業者が本制度の登録事業者であるか確認しておくことが重要です。
交付申請の予約も可能
本制度では、任意で交付申請の予約を行うことができます。
| 手続き | 期限 |
|---|---|
| 交付申請の予約 | 予算上限まで 遅くとも2026年11月16日まで |
| 交付申請 | 予算上限まで 遅くとも2026年12月31日まで |
いずれも予算上限に達した場合は、期限より前に受付終了となります。
2026年9月9日時点で予算消化は41%
公式サイトでは、予算の執行状況が日々公開されています。
2026年9月9日0時時点では、
予算に対する補助金申請額の割合は41%
です。
本事業の令和7年度補正予算額は35億円です。
現時点では予算枠が残っていますが、今後の申請増加によって受付状況は変わります。
他の補助金との併用には注意
同一の給湯器について、国の他の補助制度と重複して補助を受けることはできません。
「みらいエコ住宅2026事業」でも一部の給湯器が補助対象となる場合がありますが、同じ1台の給湯器を両制度へ重複申請することはできません。
一方、地方公共団体の補助制度については、国費が充当されているものを除いて併用可能とされています。
こんな賃貸オーナーは要チェック
- 築年数の経過したアパートを所有している
- 複数住戸の給湯器交換を予定している
- 古いガス給湯器をエコジョーズへ交換したい
- 賃貸マンションの設備更新費を抑えたい
- 給湯器の故障が増えてきている
- 一棟単位で省エネ改修を検討している
- リースによる設備更新を検討している
申請前に確認したい7つのポイント
- 建物が既存賃貸集合住宅に該当するか
- 交換前の給湯器が従来型給湯器か
- 交換後の給湯器が対象製品として登録されているか
- 交換前より給湯能力を下げていないか
- 登録事業者との契約になっているか
- 加算対象となるドレン排水工事を行うか
- 最新の予算執行率を確認しているか
よくある質問
1住戸あたりいくら補助されますか?
追い焚き機能なしは基本額5万円、ありは7万円です。さらに対象となるドレン排水工事を行った場合は3万円が加算されるため、条件を満たす場合は1住戸あたり最大10万円です。
アパートでも対象になりますか?
1棟に2戸以上の賃貸住戸を有する既存賃貸集合住宅など、制度の要件を満たす場合は対象となります。
新築マンションは対象ですか?
いいえ。新築住宅は対象外です。既存の賃貸集合住宅における給湯器交換を対象としています。
エコキュートへの交換も対象ですか?
本事業の対象機器はエコジョーズ・エコフィールです。エコキュートについては別の給湯省エネ支援制度があります。
オーナーが給湯器を購入しても対象ですか?
オーナーが自ら機器を購入する施主支給や材工分離による工事は対象外です。
申請期限はいつですか?
交付申請の予約は遅くとも2026年11月16日まで、交付申請は遅くとも2026年12月31日までです。ただし、いずれも予算上限に達した場合は早期終了します。
まとめ|賃貸住宅の給湯器更新をまとめて進めるチャンス
「賃貸集合給湯省エネ2026事業」は、既存の賃貸マンション・アパートで従来型給湯器を省エネ型給湯器へ交換する際に活用できる補助制度です。
- 追い焚きなし:5万円/台
- 追い焚きあり:7万円/台
- 対象排水工事:3万円/台を加算
- 最大10万円/住戸
- 対象は既存賃貸集合住宅
- エコジョーズ・エコフィールへの交換を支援
- リースによる交換も対象
- 2026年9月9日時点の予算申請率は41%
特に数十戸規模のマンション・アパートでは、複数台をまとめて更新することで補助総額が大きくなる可能性があります。
給湯器は故障してから交換するケースも多い設備ですが、対象機器や工事方法に条件があるため、補助金を活用する場合は施工前から制度要件を確認しておくことが重要です。
賃貸住宅の設備更新に使える補助金を知りたい方へ
賃貸住宅・不動産分野では、給湯設備だけでなく、省エネ改修、断熱、空調、太陽光発電、蓄電池などに活用できる支援制度があります。
「所有するマンションが対象になるか確認したい」「複数棟の給湯器をまとめて更新したい」「設備更新に利用できる補助制度を探したい」といった場合は、Saluteへご相談ください。
Saluteは補助金申請をトータルサポートします。
参考・出典
- 経済産業省・住宅省エネ2026キャンペーン|賃貸集合給湯省エネ2026事業
- 賃貸集合給湯省エネ2026事業|対象要件の詳細
- 賃貸集合給湯省エネ2026事業|予算に対する補助金申請額の割合
- 賃貸集合給湯省エネ2026事業|申請手続きの詳細
※本記事は2026年9月9日時点で「賃貸集合給湯省エネ2026事業」公式サイト等に公開されている情報をもとに作成しています。予算上限に達した場合は予定された期限より前に交付申請の受付が終了します。対象製品、対象工事、申請要件等については、申請時に必ず最新の公式情報・交付申請の手引き等をご確認ください。