環境技術の研究開発・実証・実用化に活用できる「環境研究総合推進費」の2027年度新規課題公募が始まりました。
環境省と独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)が実施する、環境政策への貢献を目的とした競争的研究費です。
対象は、気候変動、資源循環、自然共生、安全確保など幅広い環境分野。
大学・研究機関だけでなく、産学連携等によって技術の実証・実用化を目指す「次世代事業」も設けられています。
特に資源循環分野の「次世代循環型社会形成推進技術基盤整備事業」では、補助率1/2、ERCAからの補助額は最大2億円/年です。
公募期間は2026年9月7日から10月9日10時まで。採択された研究は2027年4月から開始される予定です。
環境研究総合推進費とは?
「環境研究総合推進費」は、環境政策への貢献・反映を目的として、環境分野の研究・技術開発を支援する競争的研究費です。
環境省が示す重点課題や行政ニーズ等を踏まえ、産学民官の研究機関等から研究提案を募集します。
2027年度の新規課題は、2026年9月7日から公募が開始されています。
基礎的・政策的な環境研究だけでなく、技術の実証や社会実装、資源循環技術の実用化まで対象となる点が特徴です。
対象となる5つの研究領域
2027年度新規課題公募では、次の5つの研究領域が対象です。
- 統合領域
- 気候変動領域
- 資源循環領域
- 自然共生領域
- 安全確保領域
環境問題を単独のテーマとして扱うだけでなく、複数領域を横断する研究・技術開発も含まれます。
支援メニューは大きく4区分
2027年度公募では、大きく4つの公募区分が設けられています。
| 公募区分 | 年間支援規模 |
|---|---|
| 環境問題対応型研究 | 最大4,000万円/年 |
| 次世代事業 | 最大2億円/年 |
| 革新型研究開発(若手枠) | 最大600万円/年 |
| 戦略的研究開発 | 最大3億円/年 |
ただし、それぞれ「委託費」と「補助金」の違いがあり、同じ補助率が適用される制度ではありません。
企業が注目したい「次世代事業」
企業の環境技術開発で特に注目したいのが、「次世代事業」です。
次世代事業は、環境問題対応型研究で得られた技術開発成果や、環境分野の重点課題の解決に資する技術について、産学連携等により実証・実用化を図るものです。
研究成果を論文や基礎研究だけで終わらせず、実際の社会実装につなげる技術開発を対象としています。
技術開発実証・実用化事業は最大1億円/年
次世代事業の一つが「技術開発実証・実用化事業」です。
| 対象領域 | 全研究対象領域 |
|---|---|
| 補助率 | 1/2 |
| 研究開発費 | 最大2億円/年 |
| ERCA補助額 | 最大1億円/年 |
| 研究期間 | 3年以内 |
気候変動、資源循環、自然共生など、すべての研究対象領域において実証・実用化を目指す事業が対象です。
資源循環技術なら最大2億円/年
さらに大型の支援となるのが、
「次世代循環型社会形成推進技術基盤整備事業」
です。
| 対象 | 資源循環領域 |
|---|---|
| 補助率 | 1/2 |
| 研究開発費 | 最大4億円/年 |
| ERCA補助額 | 最大2億円/年 |
| 研究期間 | 3年以内 |
廃棄物の安全かつ適正な処理や、循環型社会の形成推進に関する技術開発が対象です。
実現可能性、汎用性、経済効率性が見込まれる技術を開発する事業として位置付けられています。
「最大2億円」は補助額
金額の見方には注意が必要です。
次世代循環型社会形成推進技術基盤整備事業の場合、研究開発費の上限は4億円/年です。
そのうち補助率が1/2であるため、ERCAからの補助は最大2億円/年となります。
「総事業費2億円」ではなく、「研究開発費最大4億円に対して補助最大2億円」という点を区別しておきましょう。
環境問題対応型研究は最大4,000万円/年
「環境問題対応型研究」には複数の申請枠があります。
| 区分 | 支援規模 |
|---|---|
| 一般課題 | 4,000万円以内/年 |
| 技術実証型 | 4,000万円以内/年 |
| ミディアムファンディング枠 | 2,000万円以内/年 |
こちらは補助金ではなく委託費です。
技術実証型は社会実装を目指す研究に
環境問題対応型研究の「技術実証型」は、基礎・応用研究によって得られた技術開発成果について、社会実装を目指して実用可能性を検証する研究課題です。
過去に環境研究総合推進費で採択された研究成果だけでなく、他の研究制度等によって得られた技術成果を使って応募することも可能とされています。
若手研究者向けの枠も
若手研究者を対象とした「革新型研究開発」もあります。
| 区分 | 年間支援規模 |
|---|---|
| 若手枠A | 600万円以内/年 |
| 若手枠B | 300万円以内/年 |
研究代表者・分担者全員について、2027年4月1日時点で40歳未満、または博士の学位取得後8年未満であることが要件です。
若手枠については第二次審査のヒアリングを行わず、第一次審査の書面評価に基づいて採否が決定されます。
戦略的研究開発は最大3億円/年
環境省があらかじめ研究プロジェクトを構成する研究テーマを提示する「戦略的研究開発」もあります。
| 区分 | 年間支援規模 | 期間 |
|---|---|---|
| 戦略的研究開発Ⅰ | 3億円以内/年 | 5年以内 |
| 戦略的研究開発Ⅱ | 1億円以内/年 | 3年以内 |
これらは委託費であり、環境省が提示した戦略研究テーマを構成する研究課題を公募する仕組みです。
研究期間は原則3年以内
環境問題対応型研究、次世代事業、革新型研究開発は3年以内です。
研究期間は1年単位で申請できます。
戦略的研究開発Ⅰについては、最大5年間の研究プロジェクトが設定されています。
資源循環技術との相性が高い
企業にとって特に注目したいのが「資源循環領域」です。
次世代循環型社会形成推進技術基盤整備事業では、廃棄物の適正処理や循環型社会の形成に資する技術開発について、実証・実用化を支援します。
リサイクル、資源回収、廃棄物処理、再資源化などの環境技術を社会実装したい企業にとって、確認しておきたい研究開発支援制度です。
産学連携による実証・実用化も
次世代事業は、産学連携等によって実証・実用化を図る事業として設計されています。
自社だけで研究開発を進めるのではなく、大学や研究機関などが持つ研究成果と、企業の製品開発・事業化能力を組み合わせるプロジェクトも検討できます。
公募期限は2026年10月9日10時
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募詳細公表 | 2026年9月4日 |
| 公募開始 | 2026年9月7日 10:00 |
| 公募説明会 | 2026年9月11日 |
| 公募締切 | 2026年10月9日 10:00 |
| 採択・内定 | 2027年3月中旬予定 |
| 研究開始 | 2027年4月予定 |
申請は「e-Rad」から
研究課題の応募は、府省共通研究開発管理システム「e-Rad」を通じて受け付けます。
申請書類の作成だけでなく、e-Rad上での手続きも必要となるため、初めて応募する場合は早めに利用環境を確認しておくことが重要です。
こんな企業・研究機関は要チェック
- 環境技術を研究開発している企業
- 環境分野の技術を実証段階へ進めたいスタートアップ
- リサイクル・資源循環技術を開発している企業
- 廃棄物処理技術を社会実装したい企業
- 大学と共同で環境技術を開発している企業
- 脱炭素技術の実用可能性を検証したい研究機関
- 自然共生・環境安全分野の研究を行う研究者
申請前に確認したい6つのポイント
- 研究テーマが5つの対象領域に該当するか
- 「委託費」と「補助金」のどちらの区分か
- 研究段階に合った公募区分か
- 社会実装・実用化までの道筋を示せるか
- 必要な産学連携・研究体制を構築できるか
- e-Radによる申請準備ができているか
特に企業が申請を検討する場合は、単なる設備導入ではなく、研究開発としての新規性や技術的意義、環境政策への貢献、実用化の可能性を整理することが重要です。
よくある質問
最大いくら支援されますか?
公募区分によって異なります。次世代循環型社会形成推進技術基盤整備事業では、補助率1/2、ERCAからの補助額は最大2億円/年です。戦略的研究開発Ⅰは委託費として最大3億円/年ですが、性質の異なる公募区分です。
企業も対象になりますか?
公募区分によって応募要件が異なりますが、次世代事業は産学連携等による実証・実用化を目的とした制度です。応募時には公募要領の応募資格を確認してください。
資源循環技術は対象ですか?
はい。5領域の一つとして資源循環領域が設けられており、次世代循環型社会形成推進技術基盤整備事業も設定されています。
補助率はすべて1/2ですか?
いいえ。1/2補助は「次世代事業」です。他の公募区分には委託費による支援もあるため、制度を混同しないよう注意が必要です。
いつまで応募できますか?
2026年10月9日10時までです。応募はe-Radを通じて行います。
まとめ|環境技術を「研究」から「社会実装」へ
2027年度「環境研究総合推進費」は、環境政策に貢献する研究・技術開発を幅広く支援する制度です。
特に企業が注目したい次世代事業では、
- 技術開発実証・実用化:1/2補助、最大1億円/年
- 資源循環技術:1/2補助、最大2億円/年
- 研究期間:3年以内
- 公募期限:2026年10月9日10時
となっています。
環境技術を研究段階から実証・実用化へ進めたい企業や、大学等との産学連携で社会実装を目指す事業者にとって、検討価値の高い大型研究開発支援制度です。
環境技術・研究開発に使える補助金を知りたい方へ
環境・資源循環分野では、研究開発、実証、設備導入、社会実装まで、事業フェーズに応じた複数の支援制度があります。
「自社技術が対象になるか確認したい」「大学との共同研究に使える制度を探したい」「実証から事業化までの資金計画を検討したい」といった場合は、Saluteへご相談ください。
Saluteは補助金申請をトータルサポートします。
参考・出典
- 環境省|令和9年度環境研究総合推進費新規課題の公募について
- 独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)|令和9年度新規課題の公募について
- ERCA|令和9年度新規課題 公募要領・応募様式等
※本記事は2026年9月9日時点で環境省および独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)が公開している公式情報をもとに作成しています。公募区分によって応募資格、研究費、対象経費、審査方法等が異なります。申請時には必ず最新の公募要領・FAQ・応募様式等をご確認ください。