バス・鉄道・タクシーなど、地域交通のDXに最大1億円を活用できる支援制度があります。
国土交通省の「『交通空白』解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト(地域交通DX推進タイプ)」です。
交通事業者や自治体等が連携し、モビリティデータの統合・活用、システム統合、業務プロセスの標準化などを行う取り組みを支援します。
補助上限は1億円。地域区分によって補助率が異なり、人口10万人以上の地方公共団体を中心とする地域では2/3、人口10万人未満の地域では500万円以下の部分が定額となります。
2026年度2次公募は9月4日まで延長されていましたが、9月5日時点では終了しています。
今後同様の公募が行われた際にすぐ動けるよう、制度の内容や対象経費、活用方法を整理します。
「地域交通DX推進タイプ」とは?
「地域交通DX推進タイプ」は、国土交通省が実施する「『交通空白』解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト」の支援メニューの一つです。
地域交通では、運転手不足や利用者減少などを背景として、限られた人員・車両で効率的に交通サービスを提供することが求められています。
そこで、複数の交通事業者や異なる交通モード等が連携し、データやシステムを活用して地域交通の生産性・サービス品質を高める取り組みを支援します。
単なるITツール導入ではなく、「地域交通全体をデジタルでつなぐ」ことを重視した補助制度です。
補助上限は最大1億円
地域交通DX推進タイプの補助上限額は1億円です。
補助率は、事業を実施する地域の人口規模等によって異なります。
| 地域区分 | 補助率・上限 |
|---|---|
| 人口10万人未満 |
500万円以下の部分:定額 500万円超の部分:2/3 上限1億円 |
| 人口10万人以上 |
2/3 上限1億円 |
| 東京23区・三大都市圏の政令指定都市 |
1/2 上限1億円 |
特に人口10万人未満の地域では、補助対象経費500万円以下の部分が定額となるため、小規模自治体にとって活用しやすい設計となっています。
どんなDXが対象になる?
本事業では、デジタル技術を活用して地域交通の高度化を進める取り組みを支援します。
国土交通省が示している主な方向性は、
- 複数のモビリティデータの統合・活用
- 標準仕様に基づくシステム統合
- 標準業務モデルの導入
- 事業者・事業種を横断したデジタル連携
- デジタル技術を活用した高度交通サービス
などです。
モビリティデータの統合・活用
地域交通では、バス、鉄道、タクシー、オンデマンド交通など、それぞれの事業者が別々にデータを管理しているケースがあります。
こうしたデータを連携・統合することで、地域全体の交通状況を把握しやすくなります。
「どこに移動需要があるのか」「どの時間帯に車両が不足しているのか」などをデータから分析し、交通サービスの改善につなげることができます。
システム統合も支援対象
地域交通事業者がそれぞれ異なるシステムを利用していると、データ連携や共同運行を進める際の障壁となる場合があります。
本事業では、国が定める標準仕様等に基づくシステム統合も支援対象です。
複数の事業者が共通の仕組みを利用できる環境を構築することで、業務効率化やサービス連携を進めることが期待されています。
GTFSデータの整備にも活用可能
補助対象経費には、交通情報のデータ化に必要な費用も含まれています。
具体的には、GTFS-JPシリーズに基づく交通サービスの運行情報について、標準的なデータを作成するための経費が対象として示されています。
ただし、本事業によって整備したモビリティデータについては、オープンデータとして提供することが求められています。
乗降実績データの標準化も対象
国土交通省が定める「乗降実績データ標準仕様書」に基づくデータ作成費も補助対象です。
対象には、
- 鉄道・バス
- 配車アプリ
の標準的な乗降実績データが含まれます。
事業者ごとに異なっていたデータ形式を標準化することで、複数の交通サービスを横断した分析や連携を行いやすくします。
システム利用料も対象
DXではシステム開発費だけでなく、クラウドサービスなどの利用費も発生します。
本事業では、
- ソフトウェア利用料
- クラウドサービス利用料
などのシステム利用料も補助対象経費として示されています。
実証運行費も補助対象
新しい交通サービスを導入する場合、システムだけでなく実際に車両を運行して検証する必要があります。
本事業では、交通サービスの導入・運行に係る実証運行費も補助対象です。
ただし、公募要領では車両費は除外されています。
マニュアル作成・研修にも使える
新しいシステムを導入しても、現場の職員や運転手等が利用できなければDXは定着しません。
そのため、本事業ではシステム導入に伴う、
- マニュアル作成費
- 研修実施費
- 調査費
なども補助対象として示されています。
単独DXではなく「連携」が重要
この補助金の重要なポイントは、単一企業の業務システムを単純に入れ替える制度ではないことです。
国土交通省は、事業者・事業種の連携・協働によるDXを重視しています。
例えば、
- バス会社×タクシー会社
- 鉄道会社×バス会社
- 自治体×交通事業者
- 複数の地域交通事業者
- 交通事業者×デジタル事業者
など、地域全体で交通を効率化する事業設計が重要になります。
「交通空白」の解消にも活用
地域では、路線バスの減便・廃止やタクシー不足などによって、移動手段を確保しにくい地域が課題となっています。
本事業を含む「『交通空白』解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト」は、こうした地域交通の維持・活性化を目的としています。
データやデジタル技術を活用して限られた車両・人材を効率的に運用することは、交通空白への対応策の一つになります。
こんなDXプロジェクトが考えられる
制度の目的から考えると、例えば次のような地域交通DXが検討できます。
- 複数交通事業者の運行データ統合
- バス・タクシー等のデータ連携
- 配車・予約システムの連携
- GTFSデータの整備
- 乗降実績データの標準化
- 地域交通の需要分析
- 複数事業者による業務システム統合
- データを活用した新しい交通サービスの実証
実際に対象となるかは、最新の公募要領や具体的な事業内容に基づいて確認する必要があります。
補助対象となる主な経費
公募要領では、主に次の経費が補助対象として示されています。
- システム開発費
- システム導入費
- ソフトウェア・クラウドサービス利用料
- 実証運行費
- 交通情報のデータ化費用
- マニュアル作成費
- 研修実施費
- 調査費
- 広告宣伝・利用啓発等の費用
DXシステムだけでなく、導入・実証・運用定着までを幅広く支援できる構成となっています。
対象外になる主な経費
一方、すべての費用が対象になるわけではありません。
公募要領では、例えば、
- 法令・条例等で義務化された設備導入費
- 国の他の補助制度と重複する経費
- 恒久的施設の設置費
- 用地取得費
- 出資金
- 振込手数料
などが補助対象外として示されています。
2次公募では全国5事業を第1次選定
国土交通省は2026年8月6日、地域交通DX推進タイプ2次公募について、第1次選定結果を公表しました。
当初の7月2日までに応募された案件の中から、全国5事業が支援対象として選定されています。
その後、2次公募の応募期限は2026年9月4日まで延長されました。
次回公募に向けて準備したいポイント
2026年度2次公募は終了していますが、同様の支援制度を活用するには事前準備が重要です。
- 地域交通の具体的な課題を整理する
- 連携する自治体・交通事業者等を決める
- 現在利用しているデータ・システムを整理する
- DXによって何を改善するか数値化する
- 標準仕様への対応を確認する
- 実装後の運用体制まで設計する
特に、複数事業者が関係するプロジェクトでは、システム検討より先に関係者間の役割分担を整理しておくことが重要です。
こんな自治体・交通事業者は要チェック
- 地域のバス・タクシー不足に悩んでいる自治体
- 複数事業者の運行データを統合したい
- 配車・予約システムを連携したい
- GTFSデータを整備したい
- 地域交通の業務を標準化したい
- データを活用して運行を効率化したい
- 交通事業者間の共同化・協業化を進めたい
- デジタル技術で交通空白を解消したい
よくある質問
補助上限はいくらですか?
地域交通DX推進タイプの上限は1億円です。
補助率はいくらですか?
地域区分によって異なります。人口10万人以上の地域では2/3、東京23区・三大都市圏の政令指定都市では1/2です。人口10万人未満の地域では500万円以下の部分が定額、500万円を超える部分が2/3となります。
GTFSデータの作成は対象ですか?
GTFS-JPシリーズに基づく標準的な運行情報データの作成費用が補助対象として示されています。ただし、本事業で整備したモビリティデータはオープンデータとして提供する必要があります。
クラウドサービス利用料も対象ですか?
ソフトウェアまたはクラウドサービス等の利用に要する経費が対象として示されています。
車両購入費は対象ですか?
実証運行費は対象ですが、公募要領では車両費は除外されています。
今から申請できますか?
2026年度2次公募は9月4日まで延長されていましたが、2026年9月5日時点では募集を終了しています。今後の追加公募や次年度公募について、国土交通省の最新情報を確認してください。
まとめ|地域交通のDXに最大1億円
「地域交通DX推進タイプ」は、デジタル技術によって地域交通の生産性・サービス品質を向上させる取り組みを支援する制度です。
主な対象は、
- モビリティデータの統合・活用
- システム統合
- 業務プロセスの標準化
- GTFS等の交通データ整備
- 高度交通サービスの実装
- 実証運行
などです。
補助上限は1億円。地域によって2/3補助、人口10万人未満では500万円以下の部分が定額となります。
2026年度2次公募は終了していますが、自治体や複数の交通事業者が連携するプロジェクトは準備に時間がかかるため、次回公募を見据えて早めに事業計画を整理しておくことが重要です。
地域交通・DXに使える補助金を知りたい方へ
地域交通分野では、DX、交通空白対策、共同化・協業化、MaaS、省力化などを対象とした国の支援制度があります。
「自社のシステムが補助対象になるか確認したい」「自治体と交通事業者でDXを進めたい」「次回公募に向けて事業計画を準備したい」といった場合は、Saluteへご相談ください。
Saluteは補助金申請をトータルサポートします。
参考・出典
- 国土交通省|令和8年度「『交通空白』解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト」地域交通DX推進タイプ
- 国土交通省|地域交通DX推進タイプ 公募要領
- 国土交通省|地域交通DX推進タイプ(2次公募)第1次選定結果
※本記事は2026年9月5日時点で国土交通省が公開している公式情報をもとに作成しています。2026年度2次公募は募集を終了しています。今後の追加公募・次年度公募では内容、補助率、対象経費等が変更される可能性があるため、申請時には必ず最新の公募要領等をご確認ください。