中小企業のサイバーセキュリティ対策では、デジタル化・AI導入補助金による「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の導入支援制度を活用できる場合があります。
「ランサムウェアへの対策を強化したい」「社内のパソコンやネットワークを監視したい」「サイバー攻撃を受けたときに相談できる専門家がいない」といった企業にとって、確認しておきたい支援制度です。
特に中小企業では、専任のセキュリティ担当者を配置することが難しいケースもあります。そのような企業でも必要な対策を導入しやすくする仕組みとして、IPAでは「サイバーセキュリティお助け隊サービス」制度を運用しています。
この記事では、2026年8月時点で経済産業省・IPA等が公開している公式情報をもとに、中小企業が知っておきたいサイバーセキュリティ対策と支援制度についてわかりやすく解説します。
中小企業にもサイバーセキュリティ対策が必要な理由
サイバー攻撃は、大企業だけの問題ではありません。
IPAでは、近年高度化・巧妙化するサイバー攻撃について、地域の中小企業やサプライチェーンも例外なく脅威にさらされていると説明しています。
企業がサイバー攻撃を受けた場合、業務停止やデータ消失だけでなく、取引先や顧客にも影響が及ぶ可能性があります。
そのため現在では、サイバーセキュリティを単なるIT部門の問題ではなく、事業を継続するための経営課題として考えることが重要になっています。
サイバーセキュリティお助け隊サービスとは?
「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は、中小企業に必要となるサイバーセキュリティ対策をワンパッケージで提供する民間サービスについて、IPAが一定の基準を満たすものとして登録する制度です。
IPAは2021年春から制度を開始し、登録されたサービスには「お助け隊マーク」を付与しています。
人材や予算が限られる中小企業でも、専門的なセキュリティサービスを導入しやすくすることが制度のポイントです。
どんなセキュリティ対策ができる?
サイバーセキュリティ対策では、攻撃を防ぐだけでなく、異常を早期に発見し、被害が発生した場合に対応できる体制を整えることも重要です。
| 対策 | 役割 |
|---|---|
| ネットワーク監視 | 社内ネットワークの異常や不審な通信などを監視 |
| 端末監視 | パソコンなどの端末に発生する異常を監視 |
| 異常の通知 | サイバー攻撃などが疑われる場合に異常を通知 |
| インシデント対応 | 問題発生時の相談や対応を支援 |
| 相談窓口 | セキュリティに関する専門的な相談に対応 |
実際に提供される機能やサービス内容は、登録されているサービスごとに異なります。
IPAでは登録サービスや監視種別、価格等に関する情報を公開しているため、導入時には自社に必要な機能を比較することが重要です。
デジタル化・AI導入補助金を活用できる
IPAは、サイバーセキュリティお助け隊サービスを自社で利用する場合、デジタル化・AI導入補助金による導入支援制度が用意されていることを案内しています。
2026年には、従来の「IT導入補助金」から「デジタル化・AI導入補助金」へ名称が変更されています。
つまり、企業のデジタル化を進めるだけでなく、その前提となるサイバーセキュリティ対策についても支援制度を検討できるということです。
ただし、補助対象となるサービスや申請条件等は制度上の要件を満たす必要があります。
「ウイルス対策ソフトを入れれば十分」ではない
サイバーセキュリティというと、ウイルス対策ソフトの導入をイメージする企業も多いかもしれません。
しかし、実際の対策では、
- どのような情報を保有しているのか
- どの端末・システムを守る必要があるのか
- 異常をどのように検知するのか
- 問題が発生した場合に誰が対応するのか
- データをどのように復旧するのか
まで考えておく必要があります。
「攻撃を完全に防ぐ」だけではなく、「異常を早く発見し、被害を最小限に抑え、事業を復旧する」までを一体で考えることが重要です。
まず確認したい「SECURITY ACTION」
IPAでは、中小企業が情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度として「SECURITY ACTION」を設けています。
SECURITY ACTIONは、中小企業が自ら情報セキュリティ対策に取り組むことを宣言する制度であり、IPAは情報セキュリティ対策の「はじめの一歩」と位置付けています。
セキュリティ対策をこれから本格化する企業は、まず自社の現在の対策状況を確認するところから始めるとよいでしょう。
2026年は中小企業のセキュリティ支援も強化
経済産業省の2026年度予算では、「サプライチェーン・中小企業サイバーセキュリティ対策促進事業」として2.5億円が計上されています。
また、IPAでは中小企業がセキュリティ対策について相談できるよう、国家資格「情報処理安全確保支援士」の資格者のうち、中小企業向けの支援が可能な専門家をまとめた「中小企業向けサイバーセキュリティ対策支援者リスト」も公開しています。
自社だけでセキュリティ対策を設計することが難しい場合は、こうした公的な仕組みを活用して専門家を探す方法もあります。
こんな企業はセキュリティ対策を確認したい
- 顧客情報や個人情報を取り扱っている
- クラウドサービスを業務で利用している
- 社員が複数のパソコンやスマートフォンを利用している
- テレワークや外出先から社内システムへ接続している
- 取引先と重要なデータをやり取りしている
- セキュリティ専任担当者がいない
- サイバー攻撃発生時の対応方法を決めていない
特に取引先のシステムやデータと接続している企業では、自社だけではなくサプライチェーン全体への影響も考える必要があります。
補助金を使う前に整理したい5つのポイント
- 自社が保有する重要な情報・データを把握する
- 現在利用している端末・ネットワーク・クラウドを整理する
- 現在実施しているセキュリティ対策を確認する
- 不足している対策と優先順位を決める
- 利用できる支援制度と対象サービスを確認する
セキュリティ製品を先に選ぶのではなく、「何を守るのか → どのようなリスクがあるのか → どの対策が必要なのか」という順番で考えることが重要です。
DX・AI導入とセキュリティ対策はセットで考える
クラウド、生成AI、SaaS、IoTなどを業務へ導入すると、企業が扱うデータや外部サービスとの接点も増えていきます。
そのためDXを進める際には、「新しいシステムを導入すること」だけでなく、そのシステムを安全に利用するための対策も同時に検討する必要があります。
DXへの投資とセキュリティへの投資を別々に考えるのではなく、「安全なデジタル化」という一つの投資計画として考えることが重要です。
よくある質問
中小企業でもサイバー攻撃対策は必要ですか?
はい。IPAは、高度化・巧妙化するサイバー攻撃について、大企業だけでなく地域の中小企業やサプライチェーンも脅威にさらされていると説明しています。
セキュリティサービスなら何でも補助対象になりますか?
いいえ。補助制度には対象となるサービスや申請者等について要件があります。申請時点の最新の公募要領や登録サービスを確認する必要があります。
サイバーセキュリティお助け隊サービスとは何ですか?
中小企業に必要となるサイバーセキュリティ対策をワンパッケージで提供する民間サービスについて、IPAが一定の基準を満たすものとして登録する制度です。
自社にセキュリティの専門家がいない場合はどうすればいいですか?
IPAでは「中小企業向けサイバーセキュリティ対策支援者リスト」を公開しており、支援対象地域や得意業界などから専門家を探すことができます。
まとめ|セキュリティ対策も「経営への投資」
サイバーセキュリティ対策は、直接売上を生み出す設備投資とは性質が異なります。
しかし、サイバー攻撃による業務停止や情報漏えいなどのリスクを考えると、事業を安定して継続するために重要な取り組みです。
デジタル化・AI導入補助金による「サイバーセキュリティお助け隊サービス」の導入支援など、対策を進めるために利用できる制度も用意されています。
DX・AI活用を進める企業ほど、「便利にするための投資」と「安全に使うための投資」を一体で考えることが重要です。
IT・セキュリティ投資に使える補助金を知りたい方へ
「セキュリティ対策に使える補助金を知りたい」「DXと同時にセキュリティを強化したい」「自社の投資計画に利用できる補助制度を探したい」といった場合は、サービスの契約や導入前に利用可能な制度を確認することが重要です。
Saluteは補助金申請をトータルサポートします。
自社の事業内容や投資計画に適した補助制度の選定から、事業計画書・申請書類の作成、提出手続きまで、専門家が丁寧にご支援いたします。
参考・出典
- IPA|サイバーセキュリティお助け隊サービス制度
- IPA|サイバーセキュリティお助け隊サービス ユーザー向けサイト
- IPA|SECURITY ACTION セキュリティ対策自己宣言
- IPA|中小企業向けサイバーセキュリティ対策支援者リスト
※本記事は2026年8月時点で公開されている経済産業省およびIPA(独立行政法人情報処理推進機構)の公式情報をもとに作成しています。補助対象者・補助対象サービス・補助率・補助額・申請期間等は変更される場合があります。申請の際は必ず最新の公募要領・公式情報をご確認ください。