新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、中小企業等が行う革新的な新製品・新サービスの開発や、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出、海外市場開拓に向けた設備投資等を支援する補助制度です。
2026年から、これまでの「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と「中小企業新事業進出補助金」の流れを受けた新しい制度として実施されています。
「新しい製品やサービスを開発したい」「既存事業とは異なる新規事業に挑戦したい」「海外市場へ進出したい」「そのための設備やシステムに投資したい」と考えている企業にとって、活用を検討したい補助金の一つです。
この記事では、2026年8月時点の最新情報をもとに、第1回公募の補助額・補助率・対象経費・申請要件・申請スケジュール、3つの補助対象事業枠の違いをわかりやすく解説します。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは?
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、中小企業等による新製品・新サービスの開発、新市場・高付加価値事業への進出、海外市場開拓に向けた国内の輸出体制強化などを支援する制度です。
制度の目的は、企業規模の拡大や付加価値向上を通じた生産性向上を促し、賃上げにつなげることとされています。
本補助金では、事業内容に応じて「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つから選択します。
3つの補助対象事業枠の違い
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、企業が取り組む事業の目的に応じて3つの枠が用意されています。
| 枠 | 主な対象 | 補助上限額 |
|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 革新的な新製品・新サービスの開発 | 最大2,500万円 |
| 新事業進出枠 | 新市場・高付加価値事業への進出 | 最大7,000万円 |
| グローバル枠 | 海外市場開拓・国内輸出体制の強化 | 最大7,000万円 |
さらに、賃上げ特例の要件を満たす場合、補助上限額が引き上げられます。
新事業進出枠とグローバル枠では、賃上げ特例適用時の補助上限額が最大9,000万円となります。
革新的新製品・サービス枠とは?
革新的新製品・サービス枠は、自社の技術力などを活かして、顧客に新たな価値を提供する新製品・新サービスの開発を支援する枠です。
単に新しい機械やシステムを導入するだけでは対象になりません。 新製品・新サービスの開発を伴うことが重要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 中小企業者 1/2(一定条件で2/3) |
| 小規模企業・小規模事業者等 | 2/3 |
| 補助上限額 | 最大2,500万円 |
| 賃上げ特例 | 最大3,500万円 |
例えば、新しい製造技術を活用した製品開発、新たな顧客向けサービスの開発などが検討対象になります。
新事業進出枠とは?
新事業進出枠は、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する枠です。
新たに製造・提供する製品やサービスについて、自社にとって新規性があり、さらにその製品・サービスが属する市場も自社にとって新しい市場であることが求められます。
ここでいう「新規性」は、日本初・世界初という意味ではなく、申請する企業にとって新しい事業であることが基本となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 中小企業者 1/2(一定条件で2/3) |
| 補助上限額 | 最大7,000万円 |
| 賃上げ特例 | 最大9,000万円 |
| 補助下限額 | 750万円 |
新事業に必要となる設備投資やシステム構築、建物整備などを含めた大規模な事業展開を検討する企業に適した枠です。
グローバル枠とは?
グローバル枠は、海外市場開拓、つまり輸出に向けた国内の輸出体制強化を支援する枠です。
自社の製品等を活用し、自発的に新たな海外販路を開拓するために必要となる国内製造等拠点の強化が対象となります。
既存事業で対象としていなかった国・地域の市場を、新たな海外市場として開拓する取り組みが対象です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 2/3 |
| 補助上限額 | 最大7,000万円 |
| 賃上げ特例 | 最大9,000万円 |
| 補助下限額 | 750万円 |
海外展開に必要な設備投資だけでなく、海外旅費や通訳・翻訳費なども対象経費に含まれています。
補助対象経費は何が対象?
補助対象経費は、補助事業に必要な経費として明確に区分でき、必要性や金額の妥当性を証拠書類によって確認できるものが基本となります。
| 経費区分 | 対象となる枠 |
|---|---|
| 機械装置・システム構築費 | 全枠 |
| 建物費 | 新事業進出枠・グローバル枠 |
| 運搬費 | 全枠 |
| 技術導入費 | 全枠 |
| 知的財産権等関連経費 | 全枠 |
| 外注費・専門家経費 | 全枠 |
| クラウドサービス利用費 | 全枠 |
| 原材料費 | 全枠 |
| 広告宣伝・販売促進費 | 全枠 |
| 海外旅費・通訳・翻訳費 | グローバル枠 |
なお、革新的新製品・サービス枠では機械装置・システム構築費が必須です。
新事業進出枠とグローバル枠では、機械装置・システム構築費または建物費のいずれかを含める必要があります。
申請に必要な主な要件
本補助金では、補助事業だけでなく、その後3~5年間の事業計画についても要件が設定されています。
| 要件 | 主な内容 |
|---|---|
| 付加価値額要件 | 年平均成長率4.0%以上 |
| 賃上げ要件 | 1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上 |
| 事業場内最賃水準要件 | 地域別最低賃金より30円以上高い水準 |
| ワークライフバランス要件 | 一般事業主行動計画の策定・公表 |
| 職場環境整備要件 | 子育て等に関する職場環境整備への取り組み |
特に賃上げ要件と事業場内最低賃金の要件は、目標未達の場合に補助金の返還義務が生じる場合があります。
補助金を受け取ることだけを目的にするのではなく、3~5年後の事業成長まで含めて実現可能な事業計画を作成することが重要です。
賃上げ特例を使うと補助上限額が増える
一定の要件を満たす事業者は、賃上げ特例を利用することで補助上限額を引き上げることができます。
賃上げ特例では、通常の賃上げ要件に加えて、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を合計6.0%以上とし、さらに事業場内最低賃金を地域別最低賃金より50円以上高い水準とすることが求められます。
特例を利用する場合は補助上限額が大きくなる一方、達成すべき数値目標も高くなります。
高い補助上限額だけを見るのではなく、将来的な人件費や事業成長を含めて、目標を達成できる計画かどうかを検討する必要があります。
第1回公募の申請スケジュール
第1回公募は2026年6月29日に開始されました。 申請受付期間は当初の予定から変更され、現在は2026年9月30日から10月30日18:00までとなっています。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募開始 | 2026年6月29日 |
| 申請受付開始 | 2026年9月30日 |
| 応募締切 | 2026年10月30日 18:00 |
申請受付開始までに、事業計画や必要書類の準備を進めておくことが重要です。
また、申請は電子申請システムでのみ受け付けられます。
GビズIDプライムと一般事業主行動計画は早めに準備
本補助金の申請では、電子申請に必要なGビズIDプライムの準備が重要です。
また、ワークライフバランス要件として、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定・公表する必要があります。
公式の公募要領では、「両立支援のひろば」への公表に1~2週間程度を要する場合があるため、申請直前ではなく余裕を持って準備することが案内されています。
補助金の申請準備は、事業計画だけではありません。 申請前に必要となる各種手続きを先に確認することが重要です。
どの枠を選べばいい?
3つの枠は、それぞれ対象となる事業が異なります。
| やりたいこと | 検討する枠 |
|---|---|
| 新しい製品・サービスを開発したい | 革新的新製品・サービス枠 |
| 既存事業とは異なる市場へ進出したい | 新事業進出枠 |
| 海外市場へ進出・輸出したい | グローバル枠 |
重要なのは、補助額の大きさだけで枠を選ばないことです。
実際に取り組む事業がどの枠の要件に該当するのかを確認し、その枠の審査基準に合わせて事業計画を組み立てる必要があります。
申請前に確認したい5つのポイント
- 自社が補助対象者の要件を満たしているか
- 取り組む事業が3つの枠のどれに該当するか
- 補助対象経費と必要となる設備投資を整理できているか
- 3~5年間の事業計画と数値目標を設定できているか
- GビズID・一般事業主行動計画など申請前の準備を進めているか
特に高額な設備投資や新規事業への進出を計画している場合は、申請直前ではなく、早い段階から事業計画と投資内容を整理しておくことが重要です。
よくある質問
ものづくり補助金は2026年もありますか?
2026年からは、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金として実施されています。革新的な新製品・新サービス開発、新事業進出、グローバル展開の3つの枠があります。
最大9,000万円の補助を受けられますか?
一定の要件を満たして賃上げ特例を適用した場合、新事業進出枠とグローバル枠では最大9,000万円となります。誰でも9,000万円を受け取れるわけではありません。
新しい設備を購入するだけでも申請できますか?
できません。例えば革新的新製品・サービス枠では、新製品・新サービスの開発を伴わない単なる機械装置・システムの導入は対象外です。取り組む事業の内容に応じた要件を満たす必要があります。
建物費は補助対象になりますか?
建物費は新事業進出枠とグローバル枠で対象となります。革新的新製品・サービス枠では対象経費に含まれていません。
申請締切はいつですか?
第1回公募の応募締切は、2026年10月30日(金)18:00です。
新事業への投資を検討している企業へ
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、新製品・新サービスの開発、新市場への進出、海外展開など、企業の成長投資を支援する制度です。
一方で、補助金額が大きい分、3~5年間の事業計画や付加価値額、賃上げ、最低賃金などについて具体的な目標を設定する必要があります。
「自社の新規事業はどの枠に該当するのか」 「設備投資はどこまで補助対象になるのか」 「補助金を活用した事業計画をどのように作ればよいのか」 といった場合は、申請準備の早い段階で専門家へ相談することをおすすめします。
Saluteは補助金申請をトータルサポートします。
補助金制度の選定から事業計画書・申請書類の作成、提出手続きまで、専門家が丁寧にご支援いたします。
参考・出典
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金|公式サイト
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金|補助金概要
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金|資料ダウンロード
- 中小企業庁|第1回公募要領公開のお知らせ
※本記事は2026年8月21日時点で公開されている公式情報をもとに作成しています。公募内容・補助対象経費・補助率・補助上限額・申請要件・スケジュール等は変更される場合があります。申請の際は必ず最新の公募要領・交付規程等をご確認ください。