2026年8月24日、環境省は「廃棄物処理施設を核とした地域循環共生圏構築促進事業」の公募を開始しました。
ごみ処理施設で発生する「電力」や「熱」を施設内だけで利用するのではなく、周辺地域でも有効活用するための設備導入などを支援する補助金です。
電力や熱を地域で利用するための設備導入については、対象経費の1/2を補助。
また、廃棄物発電の電力や余熱を地域で活用できるか検討する実現可能性調査については、定額・最大1,500万円が補助されます。
対象者には地方公共団体だけでなく、民間企業等その他の団体も含まれています。
公募期限は2026年9月18日(金)です。
この記事では、環境省が公開している最新情報をもとに、3つの対象事業や補助率、EV収集車への支援、活用方法について解説します。
「廃棄物処理施設を核とした地域循環共生圏構築促進事業」とは?
本事業は、廃棄物処理施設から生まれる電力や熱を地域で有効利用するための設備導入などを支援する環境省の補助事業です。
廃棄物処理施設では、ごみを焼却する際に発生する熱を利用して発電したり、熱エネルギーとして利用したりすることができます。
こうしたエネルギーを周辺地域でも利用することで、廃棄物処理施設を中心とした自立・分散型の「地域エネルギーセンター」を構築することが事業の狙いです。
ごみ処理施設を「廃棄物を処理する場所」から「地域へエネルギーを供給する拠点」へ転換していくための補助制度といえます。
3つの支援メニュー
今回の公募では、大きく3つの事業が対象となっています。
| 事業 | 主な内容 | 補助 |
|---|---|---|
| 電力利活用 | 廃棄物発電の電力を地域で利用する設備 | 1/2 |
| 熱利活用 | 廃棄物処理で生じる熱を地域で利用する設備 | 1/2 |
| 実現可能性調査 | 余熱量・事業採算性等の調査 | 定額・最大1,500万円 |
すでに事業計画が具体化しているケースだけでなく、「地域でエネルギーを活用できるか、まず調査したい」という段階から利用できる点も特徴です。
① 廃棄物発電の電力活用を1/2補助
1つ目は、廃棄物発電によって生じた電力を地域で利用するための設備導入です。
環境省は対象事業として、
- 電線
- 変圧器等
- 電力利活用に必要な設備
- 通信・制御設備等
の導入を示しています。
補助率は対象経費の1/2です。
廃棄物処理施設で発電した電力を周辺の公共施設や地域等へ供給する仕組みの構築を後押しします。
EVごみ収集車も補助対象
電力利活用事業では、EV収集車のリースも補助対象として明記されています。
EV収集車・船舶については、通常の1/2補助とは異なり、
ディーゼル収集車・船舶等との価格差の3/4
が補助されます。
廃棄物処理施設で発電した電力をEV収集車に供給すれば、「ごみから作った電気で、ごみを収集する」という地域内エネルギー循環も考えられます。
② 廃熱を地域で活用する設備も1/2補助
2つ目は、廃棄物の処理によって発生する熱を地域で有効利用する事業です。
対象となるのは、
- 熱導管等
- 熱を利活用するための設備
- 通信・制御設備等
などです。
こちらも補助率は対象経費の1/2です。
廃棄物処理で生じる熱を有効活用することで、地域全体のエネルギー利用効率を高める取り組みにつなげることができます。
③ 事業化前の調査に最大1,500万円
「地域で電力や熱を利用したいが、本当に事業として成立するか分からない」という段階で利用できるのが、実現可能性調査事業です。
環境省は、
- 余熱の見込量
- 電力・熱の利活用設備の検討
- 事業採算性の検討
- 事業としての実現可能性調査
などを行う事業を対象としています。
補助額は定額補助・上限1,500万円です。
本格的な設備投資を行う前に、地域エネルギー事業として成立するかを調査できることが大きな特徴です。
自治体だけでなく民間企業も対象
3つの事業はいずれも、補助対象者として地方公共団体及び民間企業等その他団体が示されています。
自治体のみを対象とした制度ではないため、廃棄物処理やエネルギー供給などに関わる民間事業者にとっても確認したい補助制度です。
官民連携によって地域エネルギー事業を構築するケースでも活用の可能性があります。
「地域エネルギーセンター」とは?
環境省が本事業で進めているのが、廃棄物処理施設を中心とした自立・分散型の「地域エネルギーセンター」の構築です。
一般的なごみ処理施設では、ごみを適正に処理することが中心的な役割です。
しかし、焼却時に発生する熱や、その熱を利用して発電した電力を地域で利用できれば、施設は地域のエネルギー供給拠点としての役割も担うことができます。
廃棄物という地域資源から生み出したエネルギーを地域内で利用することで、地域循環型のエネルギーシステムにつなげていく考え方です。
脱炭素だけでなく「災害対策」にも
本事業の目的は、CO2排出量の削減だけではありません。
環境省は、地域で電力や熱を利用することによって、脱炭素化と災害時のレジリエンス強化につなげることを目的としています。
地域内に自立・分散型のエネルギー供給システムを構築することで、大規模災害などによって外部からのエネルギー供給が不安定になった場合にも、地域でエネルギーを確保できる可能性があります。
「ごみ収集→発電→EV収集車」という循環も
本事業の対象を組み合わせることで、地域内でのエネルギー循環を検討できます。
例えば、
- 地域で廃棄物を収集
- 廃棄物処理施設で焼却・発電
- 発電した電力を地域で利用
- EV収集車にも電力を供給
- EV収集車が再び地域の廃棄物を収集
といった仕組みです。
廃棄物処理・エネルギー・モビリティを組み合わせた地域循環モデルを構築できる点は、本事業の特徴の一つです。
電力だけでなく「熱」の活用も重要
廃棄物処理施設のエネルギー活用を考える際、発電だけでなく熱利用も重要です。
本事業では、廃棄物処理で生じた熱を地域で利用するための熱導管等も補助対象になっています。
地域の施設などで熱需要が見込める場合には、電力利用とあわせて熱エネルギーの有効利用を検討することができます。
まず「実現可能性調査」から始める方法も
地域エネルギー事業は、単純に設備を導入すれば成立するものではありません。
廃棄物処理施設から得られる電力・熱の量と、地域側のエネルギー需要、設備費、維持管理費などを踏まえて事業性を検討する必要があります。
そのため、本格的な設備導入の前に、最大1,500万円の実現可能性調査を活用して事業モデルを検討する方法もあります。
特に、新たに地域エネルギー事業を検討する自治体・事業者にとって確認したい支援メニューです。
申請方法はJグランツまたは電子メール
執行団体の一般社団法人廃棄物処理施設技術管理協会では、電力利活用事業・熱利活用事業について、Jグランツまたは電子メールによる申請方法を案内しています。
Jグランツから申請する場合には、GビズIDが必要です。
申請方法や必要書類は事業区分によって確認する必要があるため、必ず最新の公募要領を確認してください。
公募期限は9月18日
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公募開始 | 2026年8月24日(月) |
| 公募期限 | 2026年9月18日(金) |
| 電力利活用 | 補助率1/2 |
| 熱利活用 | 補助率1/2 |
| 実現可能性調査 | 定額・上限1,500万円 |
| EV収集車等 | ディーゼル車等との価格差の3/4 |
公募期間が比較的短いため、活用を検討する場合は早めに事業区分と申請書類を確認する必要があります。
こんな自治体・事業者は要チェック
- ごみ処理施設の発電電力を地域で活用したい
- 廃棄物処理施設の余熱を有効利用したい
- 廃棄物処理施設を地域エネルギー拠点にしたい
- EVごみ収集車の導入を検討している
- 地域の脱炭素化を進めたい
- 災害時のエネルギー供給体制を強化したい
- 地域エネルギー事業の採算性を調査したい
- 自治体と民間企業で地域循環モデルを構築したい
申請前に確認したい5つのポイント
- 電力・熱・FS調査のどの事業に該当するか
- 廃棄物処理施設から利用できる電力・熱量を整理する
- 地域側のエネルギー需要を確認する
- 設備導入後の運用方法や事業性を検討する
- 9月18日の期限から逆算して申請書類を準備する
特に地域への電力・熱供給は、設備導入だけでなく、供給先や運用体制を含めた事業全体の設計が重要になります。
よくある質問
補助率はいくらですか?
電力利活用設備と熱利活用設備は対象経費の1/2です。EV収集車・船舶については、ディーゼル収集車・船舶等との価格差の3/4となります。
最大1,500万円とは何の補助ですか?
廃棄物処理施設から生じる余熱や発電電力を地域で有効利用する事業について、余熱見込量や事業採算性等を検討する実現可能性調査です。定額補助で上限1,500万円です。
民間企業も対象ですか?
はい。環境省は地方公共団体のほか、民間企業等その他団体も補助対象者として示しています。
EVごみ収集車は対象ですか?
電力利活用事業ではEV収集車のリースが対象として明記されています。補助の考え方はディーゼル収集車等との価格差の3/4です。
公募期限はいつですか?
2026年9月18日(金)までです。
まとめ|ごみ処理施設を「地域のエネルギー拠点」へ
「廃棄物処理施設を核とした地域循環共生圏構築促進事業」は、ごみ処理施設で生じる電力や熱を地域資源として活用するための補助制度です。
主な支援は、
- 電力利活用設備:1/2補助
- 熱利活用設備:1/2補助
- 実現可能性調査:最大1,500万円
- EV収集車等:ディーゼル車等との価格差の3/4
です。
廃棄物処理施設を中心に「廃棄物→電力・熱→地域利用」という循環を構築し、脱炭素化と災害時のレジリエンス強化を同時に進められる点が特徴です。
公募期限は2026年9月18日(金)です。
資源循環・脱炭素事業に使える補助金を知りたい方へ
廃棄物処理、資源循環、再生可能エネルギー、脱炭素などの分野では、設備導入だけでなく実証や事業化調査に活用できる国の支援制度があります。
「廃棄物を地域資源として活用したい」「自治体と民間企業で地域循環事業を構築したい」「事業化前の調査に使える補助金を探したい」といった場合は、Saluteへご相談ください。
Saluteは補助金申請をトータルサポートします。
参考・出典
- 環境省|令和8年度「廃棄物処理施設を核とした地域循環共生圏構築促進事業」の公募について
- 一般社団法人廃棄物処理施設技術管理協会|令和8年度 公募情報・公募要領
※本記事は2026年9月5日時点で環境省および一般社団法人廃棄物処理施設技術管理協会が公開している公式情報をもとに作成しています。対象経費、申請要件、補助率、提出書類等については、申請時に必ず最新の公募要領・交付規程等をご確認ください。