2026年9月4日、「事業承継・M&A補助金」の16次公募要領が公開されました。
この補助金は、中小企業・小規模事業者等による事業承継やM&Aを支援する制度です。
16次公募では、「事業承継促進枠」「専門家活用枠」「PMI推進枠」「廃業・再チャレンジ枠」の4つが設けられています。
後継者への事業承継に伴う設備投資だけでなく、M&AのFA・仲介費用、デュー・ディリジェンス(DD)、M&A後のPMI、廃業費用など、事業承継・M&Aのさまざまな段階を支援することが特徴です。
さらに、専門家活用枠の買い手支援類型では、一定の「100億企業要件」を満たす場合、補助上限2,000万円となる仕組みがあります。
申請受付期間は2026年10月2日から11月6日17時まで(予定)です。
この記事では、中小企業庁が2026年9月4日に公開した公式情報をもとに、16次公募の4つの枠や補助率、補助上限、対象経費について解説します。
事業承継・M&A補助金とは?
事業承継・M&A補助金は、事業承継やM&Aによる経営資源の引継ぎを行おうとする中小企業者等を支援する制度です。
2026年9月4日に、16次公募の公募要領が公開されました。
今回の16次公募では、事業承継前からM&A実行、M&A後の統合、廃業・再チャレンジまで、企業の状況に応じて4つの枠が用意されています。
16次公募は「4つの枠」
| 申請枠 | 主な支援内容 |
|---|---|
| 事業承継促進枠 | 親族内・従業員承継に伴う設備投資等 |
| 専門家活用枠 | M&AのFA・仲介・DD等 |
| PMI推進枠 | M&A後の経営・事業統合 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 事業承継・M&Aに伴う廃業等 |
「会社を引き継ぐ場合」だけではなく、「会社を買う」「会社を売る」「M&A後に統合する」「既存事業を廃業して再チャレンジする」といったケースまで対象となっています。
① 事業承継促進枠|最大1,000万円
事業承継促進枠は、5年以内に親族内承継または従業員承継を予定している事業者を対象とした枠です。
事業承継に伴って行う設備投資などを支援します。
主な対象経費として、
- 設備投資費用
- 店舗・事務所の改築工事費用
などが公式情報で示されています。
補助率は1/2。小規模事業者等に該当する場合は2/3です。
補助上限は通常800万円ですが、一定の賃上げを実施する場合は1,000万円に引き上げられます。
後継者への承継+設備投資に活用
事業承継促進枠のポイントは、単に株式や経営権を後継者へ移す費用を支援する制度ではないことです。
親族や従業員への事業承継を契機として、生産性向上に向けた設備投資等を行う事業者を支援します。
「次世代への事業承継」と「会社への成長投資」を組み合わせて検討できる制度です。
② 専門家活用枠|M&A費用を支援
M&Aを検討している企業が特に確認したいのが「専門家活用枠」です。
M&Aによって経営資源を他者から引き継ぐ企業だけでなく、他者へ引き継ぐ売り手側も対象となります。
主な補助対象経費として、
- ファイナンシャルアドバイザー(FA)費用
- M&A仲介費用
- デュー・ディリジェンス(DD)費用
- セカンド・オピニオン費用
- 表明保証保険料
などが示されています。
M&Aの「買い手」と「売り手」両方を支援
専門家活用枠には、大きく買い手側と売り手側の支援があります。
| 類型 | 補助率 |
|---|---|
| 買い手支援類型 | 1/3・1/2・2/3 |
| 売り手支援類型 | 1/2・2/3 |
| 小規模売り手支援類型 | 2/3 |
適用される補助率は、申請類型や事業者の条件によって異なります。
買い手は最大2,000万円の特例も
16次公募で特に注目したいのが、専門家活用枠の買い手支援類型です。
通常の補助上限は600万円~800万円です。
一方、中小企業庁の公式情報では、100億企業要件を満たす場合、補助上限2,000万円とされています。
100億円規模への成長を目指し、M&Aを成長戦略として活用する企業にとって確認しておきたい仕組みです。
DD費用を申請すると上限加算も
通常の買い手支援類型・売り手支援類型では、補助上限は基本的に600万円です。
中小企業庁の公式情報では、DD費用を申請する場合、200万円を加算し、800万円を上限とする仕組みが示されています。
M&Aでは財務・税務・法務などの調査が重要となるため、DDを予定している場合は対象経費を確認しておきましょう。
小規模な売り手企業も支援
16次公募では「小規模売り手支援類型」も設けられています。
補助対象となるのは小規模事業者等で、補助率は2/3、補助上限は450万円です。
後継者不足などを背景に第三者への事業承継を検討している小規模事業者も、制度の対象となる可能性があります。
③ PMI推進枠|M&A後の統合も補助
M&Aは、契約が成立すれば完了というわけではありません。
M&A後には、経営方針、組織、人事、業務、システム、設備などを統合していく「PMI」が重要になります。
16次公募では、M&A後のPMIについても補助対象となっています。
PMI推進枠には、
- PMI専門家活用類型
- 事業統合投資類型
の2つがあります。
PMIの専門家費用は最大150万円
PMI専門家活用類型では、M&A後の経営統合に必要となる専門家活用費用を支援します。
補助率は1/2、補助上限は150万円です。
M&A後の経営・組織統合を専門家と進めたい企業が対象となります。
事業統合の設備投資は最大1,000万円
PMI推進枠の「事業統合投資類型」では、M&A後の事業統合に必要となる設備投資等を支援します。
補助率は1/2、小規模事業者等の場合は2/3です。
補助上限は通常800万円ですが、一定の賃上げを実施する場合には1,000万円まで引き上げられます。
④ 廃業・再チャレンジ枠|最大300万円
事業承継・M&Aに伴って既存事業を廃業し、新たな取り組みにチャレンジする場合には「廃業・再チャレンジ枠」があります。
補助率は2/3、補助上限は300万円です。
主な対象経費として、
- 廃業支援費
- 在庫廃棄費
- 解体費
- 土壌汚染調査費
などが公式情報で示されています。
他の3枠との併用申請も可能
廃業・再チャレンジ枠は、一定の条件のもと、
- 事業承継促進枠
- 専門家活用枠
- PMI推進枠
と併用して申請することができます。
例えばM&Aや事業承継に伴い、一部の既存事業を廃止・整理する必要がある場合には、併用可能性を確認しておきたい制度です。
M&A仲介費用には注意
専門家活用枠でFA費用やM&A仲介費用を申請する場合には注意が必要です。
中小企業庁は、FAまたはM&A仲介費用について、M&A支援機関登録制度に登録されたFAまたはM&A仲介業者による費用に限るとしています。
M&A支援会社を選定する際には、補助金の対象となる事業者かどうかも事前に確認する必要があります。
申請はJグランツのみ
16次公募の申請は、電子申請システムJグランツのみで受け付けます。
申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。
中小企業庁は、アカウント取得に2~3週間程度必要になるとして、締切に余裕を持って手続きを行うよう案内しています。
16次公募は11月6日17時まで
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募要領公開 | 2026年9月4日 |
| 申請受付開始 | 2026年10月2日 |
| 申請締切 | 2026年11月6日 17:00(予定) |
| 申請方法 | Jグランツ |
M&Aを予定している場合には、申請書だけでなく、M&Aの進捗状況や専門家との契約、対象経費なども確認する必要があります。
申請を検討している場合は、締切直前ではなく早めに公募要領を確認して準備を進めましょう。
こんな企業は16次公募を要確認
- 親族への事業承継を予定している
- 従業員への事業承継を考えている
- 承継を機に設備投資を行いたい
- M&Aによる企業買収を検討している
- 会社・事業の売却を検討している
- M&A仲介・FA・DD費用を抑えたい
- M&A後のPMIを進めたい
- M&A後に設備投資を予定している
- 事業承継に伴って既存事業を廃業したい
申請前に確認したい5つのポイント
- 自社がどの申請枠・類型に該当するか確認する
- 事業承継・M&Aの実施時期と要件を確認する
- 専門家費用・設備投資等の対象経費を整理する
- 補助率・補助上限の適用条件を確認する
- GビズIDを準備し、11月6日から逆算して申請する
同じM&Aでも、買い手・売り手、企業規模、100億企業要件、DDの有無などによって補助率や上限額が変わります。
まず自社がどの類型に該当するかを整理することが重要です。
よくある質問
最大いくら補助されますか?
16次公募では、専門家活用枠の買い手支援類型で100億企業要件を満たす場合、補助上限2,000万円が設定されています。その他の枠・類型では上限額が異なります。
M&A仲介手数料は対象ですか?
専門家活用枠ではM&A仲介費用が対象経費として示されています。ただし、M&A支援機関登録制度に登録されたM&A仲介業者による費用であることなどの条件があります。
デューデリジェンス費用は対象ですか?
専門家活用枠ではDD費用が補助対象経費として示されています。
M&A後の設備投資にも使えますか?
PMI推進枠の事業統合投資類型では、M&A後の事業統合に伴う設備投資等が支援対象となります。
申請期限はいつですか?
16次公募の申請受付期間は、2026年10月2日から11月6日17時までの予定です。
まとめ|事業承継からM&A後のPMIまで幅広く支援
事業承継・M&A補助金の16次公募要領が、2026年9月4日に公開されました。
今回は、
- 事業承継促進枠
- 専門家活用枠
- PMI推進枠
- 廃業・再チャレンジ枠
の4枠で実施されます。
事業承継に伴う設備投資から、M&Aの仲介・FA・DD、M&A後のPMI、廃業まで、経営資源の引継ぎを幅広く支援する制度です。
専門家活用枠では、100億企業要件を満たす買い手について最大2,000万円の補助上限も設定されています。
申請受付は2026年10月2日~11月6日17時(予定)です。
事業承継・M&Aに使える補助金を知りたい方へ
事業承継・M&A補助金は、承継方法やM&Aの買い手・売り手、企業規模、対象経費などによって利用できる枠や補助額が異なります。
「M&A仲介費用に補助金を使いたい」「後継者への承継に合わせて設備投資をしたい」「M&A後の設備投資に利用したい」といった場合は、Saluteへご相談ください。
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参考・出典
- 中小企業庁|事業承継・M&A補助金(十六次公募)
- 中小企業基盤整備機構|事業承継・M&A補助金(16次公募)
※本記事は2026年9月5日時点で中小企業庁および中小企業基盤整備機構が公表している情報をもとに作成しています。補助率、補助上限、対象経費、申請要件等については、申請時に必ず16次公募の最新公募要領をご確認ください。