2026年8月24日、環境省は「再生材供給サプライチェーン構築支援事業」の公募を開始しました。
今回の制度は、重要な金属資源等について、国内で必要となる再生材を安定的に供給できるサプライチェーンの構築を目指す実証事業です。
対象となるのは、工程端材や使用済製品等から資源を回収するための収集運搬・再生利用スキームの構築や、解体・破砕・選別・焙焼等の技術実証です。
特に注目したいのが事業規模です。2026年度は1件あたり上限3億円(税込)。民間企業だけでなく大学や研究開発機関等も対象で、複数事業者による共同提案も可能です。
公募期間は2026年8月24日から9月25日17時までです。
この記事では、環境省が公開している公式情報をもとに、対象となる事業や対象者、3億円の事業上限、企業間連携で重要となるポイントを解説します。
再生材供給サプライチェーン構築支援事業とは?
正式名称は「令和8年度再生材供給サプライチェーン構築支援事業(うち、安定的な質・量の再生材を供給するための実証事業)」です。
環境省は、重要な金属資源等について、日本の基幹産業が必要とする質と量の再生材を安定的に供給するため、再生資源供給サプライチェーンの強靱化を進めています。
そのために、工程端材や使用済製品等の廃棄物から重要な金属資源等をリサイクルするための技術やスキームを実証するのが今回の事業です。
対象は大きく2種類
環境省は、対象となる実証を大きく2つに分けています。
| 区分 | 実証する内容 |
|---|---|
| ① スキーム構築 | 廃棄物等の収集運搬・再生利用の仕組みを構築 |
| ② 技術実証 | 解体・破砕・選別・焙焼その他の処理技術を実証 |
共通する目的は、国内へ供給する再生資源またはその原料の「質」または「量」を向上させることです。
① 企業が連携してリサイクルの仕組みをつくる
1つ目は、廃棄物等の収集運搬や再生利用のスキームを構築する実証です。
環境省は、例えば製造業と資源循環産業が連携するケースや、同じ業種・業界に属する複数の事業者が連携するケースなどを想定しています。
この事業では、構築するスキームについて、経済面と技術面の双方から実現可能性を検証します。
「リサイクル技術は存在するが、使用済製品を安定的に集められない」「回収した再生材の利用先までつながっていない」といったサプライチェーン上の課題を解決する取り組みが重要になります。
② 解体・破砕・選別などの技術を実証
2つ目は、廃棄物等を処理する技術そのものを実証する事業です。
環境省が対象として明示している処理には、
- 解体
- 破砕
- 選別
- 焙焼
- その他の処理
があります。
一方、公募情報では精練・製錬・精製等はこの区分の対象から除かれています。
自社技術がどの工程に該当するのか、申請前に公募要領を確認する必要があります。
1件あたり上限3億円
今回の事業で特に注目したいのが予算規模です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 2026年度予算 | 1件あたり上限3億円(税込) |
| 契約形態 | 環境省との委託契約 |
| 2026年度実施期間 | 契約締結日から2027年3月末まで |
注意したいのは、一般的な「対象経費の1/2を補助する」といった補助金ではないことです。
採択された事業実施者は環境省と委託契約を締結して実証事業を行います。
なぜ「再生材の質と量」が重要なのか?
リサイクルでは、単に廃棄物から資源を回収すればよいわけではありません。
再生材を製造業で継続的に利用するためには、必要とされる品質を確保するとともに、一定量を安定的に供給できる仕組みが必要です。
今回の事業が重視しているのも、国内に供給する再生資源またはその原料の「質」または「量」の向上です。
そのため、技術単体だけでなく、原料の回収から再生材の供給までを一つのサプライチェーンとして考えることが重要になります。
複数企業による共同提案が可能
本事業では、複数の事業者による共同提案が認められています。
例えば、
- 使用済製品を排出・回収する企業
- 収集運搬を担う事業者
- 解体・選別等を行うリサイクル事業者
- 再生材を利用する製造業
- 技術開発を行う大学・研究機関
などが役割を分担することも考えられます。
共同提案の場合、原則として主たる業務を行う事業者が代表事業者となり、環境省との委託契約を締結します。
民間企業・大学・研究機関などが対象
環境省が公表している対象者は次のとおりです。
- 民間企業
- 独立行政法人
- 一般社団法人・一般財団法人
- 公益社団法人・公益財団法人
- 大学
- 国立または独立行政法人と認められる研究開発機関
- 地方公共団体の研究開発機関
- その他、環境省が適当と認める者
企業単独だけではなく、技術やサプライチェーンを持つ複数の組織が連携して実証することも可能です。
複数年度の実証も可能
本事業では複数年度で実施する事業も想定されています。
ただし、複数年度事業の場合には、毎年度の達成目標をあらかじめ設定し、年度ごとに達成状況の評価を受けます。
次年度も継続できるのは、評価審査委員会によって事業継続が認められ、かつ当該年度の予算が確保された場合です。
したがって、採択された時点で複数年度分の実施が無条件に保証されるわけではありません。
公募期限は2026年9月25日17時
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募開始 | 2026年8月24日(月) |
| 質問受付締切 | 2026年9月4日(金)17:00 |
| 申請書提出締切 | 2026年9月25日(金)17:00 |
| 評価審査委員会 | 2026年10月下旬~11月上旬予定 |
今回はjGrantsによる申請ではありません。
環境省の公募情報では、申請書類を郵送または持参するとともに、申請書と事業概要スライドを電子メールでも提出する方法が指定されています。
こんな企業・プロジェクトは確認したい
- 使用済製品から重要な金属資源を回収したい
- 工程端材を再資源化したい
- 解体・破砕・選別技術を実証したい
- 再生材の品質を向上させたい
- 再生材の供給量を増やしたい
- メーカーとリサイクル企業で共同実証したい
- 使用済製品の回収スキームを構築したい
- 再生材の安定供給網を構築したい
申請前に整理したい6つのポイント
- 対象とする廃棄物・再生資源を明確にする
- 再生材の質または量をどう向上させるか整理する
- 実証する技術またはスキームを明確にする
- 原料の回収から再生材利用までの関係者を整理する
- 共同提案の場合は代表事業者と役割分担を決める
- 年度内に達成する実証目標を設定する
特に重要なのは、単なる設備導入計画ではなく、実証によって国内の再生資源供給をどのように改善できるのかを明確にすることです。
よくある質問
支援額はいくらですか?
2026年度は1件あたり上限3億円(税込)です。本事業は環境省との委託契約により実施されます。
民間企業も応募できますか?
はい。民間企業は公募対象者として明記されています。
複数企業で応募できますか?
はい。複数事業者による共同提案が可能です。共同提案では、原則として主たる業務を行う事業者が代表事業者となります。
どのような技術実証が対象ですか?
廃棄物等の解体、破砕、選別、焙焼その他の処理に係る技術実証が対象として示されています。ただし、精練・製錬・精製等は除かれています。
申請期限はいつですか?
2026年9月25日(金)17時必着です。公募に関する質問の受付は9月4日(金)17時までです。
まとめ|「廃棄物を処理する」から「再生材を安定供給する」へ
2026年度の再生材供給サプライチェーン構築支援事業は、重要な金属資源等について、国内で必要となる再生材を安定供給する仕組みを構築するための実証事業です。
収集運搬・再生利用スキームの構築だけでなく、解体・破砕・選別等の技術実証も対象となります。
2026年度は1件あたり上限3億円(税込)で、公募期限は9月25日17時です。
ポイントは「廃棄物をリサイクルできるか」だけではありません。必要な品質の再生材を、必要な量だけ継続的に国内産業へ供給できる仕組みをつくれるかが重要です。
資源循環・リサイクル事業に使える支援制度を知りたい方へ
2026年度は、リサイクル設備の導入、技術実証、サプライチェーン構築、新素材開発など、資源循環のさまざまなフェーズを支援する制度があります。
「自社のリサイクル技術を実証したい」「メーカーと共同で資源循環モデルを構築したい」「自社事業に利用できる制度を知りたい」といった場合は、Saluteへご相談ください。
Saluteは補助金・支援制度の申請をトータルサポートします。
事業内容に適した制度の選定から、事業計画書・申請書類の作成まで支援します。
参考・出典
- 環境省|令和8年度再生材供給サプライチェーン構築支援事業
※本記事は2026年8月26日時点で環境省が公開している「令和8年度再生材供給サプライチェーン構築支援事業(うち、安定的な質・量の再生材を供給するための実証事業)」の公式情報をもとに作成しています。対象者、対象事業、委託費、公募期間等は変更される場合があります。申請時には必ず最新の公募要領をご確認ください。