「ゼロエミッション船等の導入支援事業」は、水素・アンモニア・メタノール・電力を動力源とする船舶の導入を支援し、船舶分野のCO₂排出削減と産業競争力強化を進めるための補助制度です。
「電気推進船への転換を検討している」「次世代燃料に対応した船舶を導入したい」「船舶用バッテリーや燃料供給設備への投資負担を抑えたい」と考えている海運事業者等にとって、確認しておきたい制度です。
対象となるのは船舶だけではありません。ゼロエミッション船等に必要となるエンジン、燃料タンク、燃料供給装置、推進用バッテリー、陸電設備等の導入に必要な経費の一部も支援されます。
2026年度の補助率は1/2または1/3以内等。公募は2026年8月24日に開始され、2026年12月3日(木)正午まで受け付けられています。
この記事では、2026年8月時点で環境省等が公表している公式情報をもとに、ゼロエミッション船等の導入支援事業の目的、対象となる船舶・設備、補助率、公募期間、導入を検討する際のポイントをわかりやすく解説します。
ゼロエミッション船等の導入支援事業とは?
ゼロエミッション船等の導入支援事業は、船舶分野におけるCO₂排出削減を進めるため、次世代の動力源を利用する船舶の導入を支援する制度です。
環境省と国土交通省が連携して実施しており、2026年度は一般財団法人日本船舶技術研究協会が執行団体となっています。
特に重要なのが、ゼロエミッション船等がまだ普及初期にあることです。
従来船から次世代船への転換に必要となる初期投資の一部を支援し、CO₂削減だけでなく、日本の船舶関連産業の競争力強化や経済成長につなげることが目的とされています。
対象となる4つの動力源
環境省は、本事業におけるゼロエミッション船等について、次の4つの動力源を明示しています。
| 動力源 | 概要 |
|---|---|
| 水素 | 水素を船舶の動力源として利用 |
| アンモニア | アンモニアを船舶燃料として利用 |
| メタノール | メタノールを船舶燃料として利用 |
| 電力 | バッテリー等を利用した電気推進 |
船舶の脱炭素化というと電気船だけをイメージしがちですが、本制度では複数の次世代エネルギーが対象となっています。
船だけでなく「関連設備」も支援
本事業のポイントは、船体だけに注目した制度ではないことです。
環境省は、ゼロエミッション船等の導入に必要となる設備として、次のようなものを明示しています。
- エンジン
- 燃料タンク
- 燃料供給装置
- 推進用バッテリー
- 陸電設備
- その他、ゼロエミッション船等の導入に必要な設備
「船を導入するための補助金」というより、次世代エネルギーで船を動かすために必要となるシステム全体への投資を支援する制度として考えることが重要です。
補助率は1/2または1/3以内等
2026年度のゼロエミッション船等の導入支援事業では、対象となる経費について1/2または1/3以内等の補助率が設定されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 1/2または1/3以内等 |
| 公募開始 | 2026年8月24日(月) |
| 公募締切 | 2026年12月3日(木)正午 |
適用される補助率は、導入する設備や事業内容等によって異なるため、具体的な申請では公募要領を確認する必要があります。
「すべての設備が一律1/2補助される」という制度ではない点には注意が必要です。
電気船では「推進用バッテリー」が対象
電力を動力源とする船舶を導入する場合、重要な設備となるのが推進用バッテリーです。
電気推進では、船舶の航行に必要となるエネルギーをバッテリーに蓄え、その電力を利用して推進します。
2026年度の本事業では、環境省が推進用バッテリーを支援対象となる設備の一例として明示しています。
そのため、電気船の導入を検討している事業者は、船体だけでなく、推進システムを構成する設備を含めて投資計画を整理することが重要です。
水素・アンモニア・メタノール船では燃料設備も重要
水素・アンモニア・メタノールを利用する船舶では、燃料そのものだけでなく、安全かつ安定的に燃料を利用するための設備が必要になります。
本事業では、燃料タンクや燃料供給装置についても導入支援の対象となる設備として示されています。
次世代燃料船への転換では、従来船とは異なる設備構成が必要になるため、船舶だけを見るのではなく、動力・燃料関連設備を含めて導入計画を検討する必要があります。
「陸電設備」も補助対象
注目したいもう一つの設備が、陸電設備です。
陸電設備は、船舶が港に停泊している際に、陸上側から船舶へ電力を供給するために使用されます。
環境省は、ゼロエミッション船等の導入に必要な経費として陸電設備も明示しています。
船舶単体だけではなく、運航を支える港湾側の関連設備まで含めて脱炭素化を進めるという視点が重要になります。
なぜ今、ゼロエミッション船への投資が支援される?
日本では2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、さまざまな産業でCO₂排出削減が進められています。
船舶についても例外ではなく、従来の化石燃料を利用する船舶から、よりCO₂排出削減につながる次世代船への転換が重要な課題となっています。
一方、新しい動力システムや燃料設備を導入するには、大きな初期投資が必要になる場合があります。
そこで本事業では、普及初期の導入を政策的に支援することで、CO₂削減と同時に、関連する技術・産業の成長を促進することを目的としています。
「船舶+設備」で投資計画を考える
ゼロエミッション船等への転換を検討する場合、船舶だけを選定すればよいわけではありません。
例えば電気推進であれば推進用バッテリー、水素等の燃料を利用する場合には燃料タンクや燃料供給装置など、動力源によって必要となる設備が異なります。
また、運航形態によっては陸上側の設備についても検討が必要になります。
どのエネルギーを利用し、船舶と関連設備をどのように組み合わせるのかを一体的に計画することが重要です。
公募は2026年12月3日正午まで
2026年度の公募は、2026年8月24日から開始されています。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募開始 | 2026年8月24日(月) |
| 公募締切 | 2026年12月3日(木)正午 |
| 執行団体 | 一般財団法人日本船舶技術研究協会 |
公募期間は比較的長く設定されていますが、船舶や関連設備は投資規模が大きく、仕様や導入計画の検討にも時間を要します。
申請を検討する場合は、公募要領を確認したうえで早めに事業計画や導入設備を整理することが重要です。
こんな事業者は確認したい
- 船舶の更新を検討している
- 電気推進船の導入を検討している
- 水素を利用する船舶を検討している
- アンモニア燃料船への転換を検討している
- メタノール燃料船の導入を検討している
- 船舶用の推進バッテリーを導入したい
- 燃料タンク・燃料供給装置への投資を予定している
- 陸電設備の整備を検討している
- 船舶運航によるCO₂排出量を削減したい
申請前に整理したい6つのポイント
- 導入する船舶の種類・用途を整理する
- 水素・アンモニア・メタノール・電力のどれを利用するか決める
- 必要となるエンジン・燃料設備・バッテリー等を整理する
- 陸上側に必要となる設備を確認する
- 対象経費と適用される補助率を公募要領で確認する
- 12月3日の締切から逆算して申請準備を進める
特に補助率は一律ではありません。導入予定の設備がどの区分に該当するのかを確認したうえで、事業費と補助額を整理する必要があります。
よくある質問
どのような船舶が対象ですか?
環境省は、水素、アンモニア、メタノールおよび電力を動力源とする船舶を「ゼロエミッション船等」として示しています。詳細な要件は最新の公募要領をご確認ください。
補助率はいくらですか?
環境省の公表資料では、補助率は1/2または1/3以内等とされています。具体的な適用区分は事業内容等によって異なります。
バッテリーだけでも補助対象になりますか?
環境省は、ゼロエミッション船等の導入に必要となる推進用バッテリーを支援対象設備の一例として明示しています。具体的な申請可否や要件については公募要領をご確認ください。
燃料タンクも対象ですか?
はい。燃料タンクおよび燃料供給装置は、環境省が補助対象となる設備の例として公表しています。
陸電設備も対象になりますか?
環境省は陸電設備についても、ゼロエミッション船等の導入に必要となる支援対象設備の一例として示しています。
申請期限はいつですか?
2026年度の公募期限は2026年12月3日(木)正午です。
まとめ|船舶の脱炭素化に向けた大型投資を支援
2026年度のゼロエミッション船等の導入支援事業は、水素・アンモニア・メタノール・電力を動力源とする次世代船の導入を支援する制度です。
エンジンだけでなく、燃料タンク、燃料供給装置、推進用バッテリー、陸電設備等も支援対象として示されています。
補助率は1/2または1/3以内等で、公募期限は2026年12月3日正午です。
船舶の脱炭素化では、船を入れ替えるだけではなく、動力源・燃料・船内設備・陸上設備まで含めた新しいエネルギーシステムへの転換が必要です。今回の制度は、その普及初期の投資を支援する補助事業です。
脱炭素・設備投資に使える補助金を知りたい方へ
2026年度は、船舶だけでなく、工場・物流・エネルギー・再生可能エネルギーなど、企業のGXや省CO₂設備投資を支援するさまざまな制度が実施されています。
「自社の設備投資に使える補助金を知りたい」「脱炭素設備への投資が補助対象になるか確認したい」「どの制度を選べばよいかわからない」といった場合は、Saluteへご相談ください。
Saluteは補助金申請をトータルサポートします。
自社の事業内容や投資計画に適した制度の選定から、事業計画書・申請書類の作成、提出手続きまで、専門家が丁寧にご支援いたします。
参考・出典
※本記事は2026年8月26日時点で環境省等が公開している令和8年度「ゼロエミッション船等の導入支援事業」の公式情報をもとに作成しています。補助対象者、対象船舶、対象設備、対象経費、補助率、公募期間等は変更される場合があります。申請の際は必ず最新の公募要領・交付規程等をご確認ください。