「プラスチック等資源循環システム構築実証事業」は、化石資源由来プラスチックから再生可能資源への転換や、リサイクルが難しいプラスチック等の新たなリサイクルプロセス構築など、資源循環とCO₂排出削減につながる実証を支援する環境省の補助事業です。
「バイオプラスチックを実用化したい」「これまでリサイクルできなかった複合素材を再資源化したい」「廃棄物から新しい資源や燃料をつくりたい」と考えている企業にとって、確認しておきたい制度です。
2026年度は、対象となる実証事業に必要な設備費・業務費等について、条件に応じて1/3または1/2以内が補助されます。
第3次公募は2026年8月7日から9月15日まで。民間企業だけでなく、大学や研究開発機関等も対象となっています。
この記事では、2026年8月時点の環境省および執行団体の公式情報をもとに、対象となる4つの実証分野、補助率、対象者、対象にならない取り組み、申請前に確認したいポイントをわかりやすく解説します。
プラスチック等資源循環システム構築実証事業とは?
正式名称は「脱炭素型循環経済システム構築促進事業(うち、プラスチック等資源循環システム構築実証事業)」です。
環境省が進める資源循環・脱炭素政策の一つで、化石由来資源の使用を減らしながら、新しい資源循環システムを社会に実装していくことを目的としています。
特徴は、一般的な設備投資だけを支援する制度ではなく、社会実装に向けて残されている「技術的な課題」を解決するための実証を支援することです。
そのため、研究段階の技術ではなく、実用化・事業化を見据えた取り組みであることが重要になります。
2026年度は4つの実証分野が対象
第3次公募では、次の4つの事業が補助対象として設定されています。
| 区分 | 対象となる実証 |
|---|---|
| ① | バイオプラスチック等への転換・社会実装 |
| ② | プラスチック等のリサイクルプロセス構築 |
| ③ | 廃棄物等バイオマスを活用したジェット燃料等の製造・社会実装 |
| ④ | 廃油のリサイクルプロセス構築 |
一口に「プラスチックの補助金」といっても、素材転換だけではなく、リサイクル技術や廃棄物由来燃料など、幅広い資源循環技術が対象になっています。
補助率は1/3または1/2以内
2026年度の本事業では、実証に必要となる設備費や業務費等について、1/3または1/2以内を上限として補助されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 1/3または1/2以内 |
| 1件あたりの上限額 | 設定なし |
| 実施期間 | 最大2年間 |
執行団体のFAQでは、1件あたりの補助上限額は設定されていないとされています。
ただし、希望額がそのまま補助されるわけではなく、経費の根拠や妥当性等について審査したうえで補助金額が決定されます。
① バイオプラスチック等への素材転換
1つ目は、化石資源由来プラスチックを、バイオマスなどの再生可能資源を利用した素材へ転換する実証です。
対象となる方法として、環境省は主に次の2つを示しています。
- 化石由来プラスチックを、バイオマス由来プラスチック、紙、セルロース等に置き換える
- 製品中の再生可能資源素材の割合を増加させる
ただ素材を混ぜるだけではなく、社会実装するうえで存在する技術的課題を解決するための実証であることが求められます。
また、実証後にその素材をどのような用途で普及させるのかを明確にする必要があります。
② リサイクルが難しいプラスチックを再資源化
2つ目は、現在の技術ではリサイクルが難しいプラスチック等について、新たなリサイクルプロセスを構築する実証です。
例えば複数の素材が組み合わされたプラスチックなど、既存の方法では再資源化が難しい素材について、技術的な課題を解決する取り組みが想定されています。
重要なのは、実証だけで終わらせないことです。
実証終了後に、構築したリサイクル方法をどのように継続・実用化していくのかまで明確にする必要があります。
サーマルリサイクルが目的の事業は対象外
プラスチック等のリサイクル実証を検討する場合、注意したいポイントがあります。
環境省は、リサイクルプロセス構築事業について、主な目的が熱回収(サーマルリカバリー)となる取り組みは対象外としています。
対象となるのは、材料や化学原料等として再び利用することを主な目的としたリサイクルです。
そのため、「廃プラスチックを処理する」だけではなく、処理後の資源を何として再利用するのかまで事業設計することが重要です。
③ 廃棄物からジェット燃料・燃料原料をつくる
3つ目は、廃棄物等のバイオマスを利用して、省CO₂型のジェット燃料等や、その原料を製造・社会実装する実証です。
環境省は対象となるバイオマスの例として、
- 廃食用油
- 非食用米
- 古紙
などを示しています。
廃棄物を単に処理するのではなく、化石資源由来のジェット燃料等を代替する新しい資源として活用し、社会実装につなげることが求められます。
④ 廃油を新しい資源として循環させる
4つ目は、現在リサイクルが十分に進んでいない廃油について、新しいリサイクルプロセスを構築する実証です。
環境省は対象となる廃油の例として、
- 廃溶剤
- 廃潤滑油
などを挙げています。
こちらも技術実証だけではなく、実証後にそのリサイクルプロセスをどのように実用化するのかを明確にする必要があります。
単なる設備導入では申請できない
この補助事業で特に重要なのが、「実証事業」であるという点です。
執行団体のFAQでは、次のような取り組みだけでは対象にならないことが示されています。
- 実現可能性調査(FS)のみ
- 事前検討のみ
- 研究開発段階の取り組み
- 設備導入だけで目的が達成される取り組み
社会実装するために解決すべき技術的課題が存在し、その課題を実証によって解決する事業であることが必要です。
CO₂削減効果も重要な要件
資源循環だけを実現すればよいわけではありません。
本事業では、原料から製品化、廃棄・リサイクルまでのライフサイクルを通じて、国内のエネルギー起源CO₂排出量が削減されることが必須とされています。
つまり、新しい素材やリサイクル技術を導入した結果、従来の方法と比較してどのようなCO₂削減につながるのかを検討する必要があります。
技術面だけではなく、環境面での効果を数値として整理しておくことが重要です。
実証後の「出口」が重要
この制度では、実証実験そのものを成功させることだけがゴールではありません。
執行団体は、社会実装段階における原料調達や製品出口の確度・持続性も求めています。
例えば、
- 実証後も原料を安定して調達できるか
- 製造した再生材を誰が利用するのか
- 製品として販売できる市場があるか
- リサイクルプロセスを継続運営できるか
- 事業として成立する仕組みを構築できるか
といった点まで考えておく必要があります。
「技術ができるか」だけではなく、「実証後に事業として続けられるか」が重要なポイントです。
民間企業・大学・研究機関などが対象
2026年度の公募では、次のような事業者・団体が対象となっています。
- 民間企業
- 独立行政法人
- 一般社団法人・一般財団法人
- 公益社団法人・公益財団法人
- 大学
- 国立または独立行政法人と認められる研究開発機関
- 地方公共団体の研究開発機関
- その他、所定の要件を満たす者
また、複数事業者による共同事業として申請することも可能です。
共同事業の場合は代表事業者を決める必要があり、代表事業者には設立から1年以上経過していることなどの条件があります。
第3次公募は2026年9月15日まで
2026年度の第3次公募は、2026年8月7日に開始されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 第3次公募開始 | 2026年8月7日(金) |
| 第3次公募締切 | 2026年9月15日(火) |
| 申請方法 | jGrants |
申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。
執行団体は、GビズIDプライムアカウントの取得に2~3週間を要する場合があるとしているため、未取得の場合は早めに準備する必要があります。
こんな企業・プロジェクトは確認したい
- 石油由来プラスチックをバイオ素材へ置き換えたい
- 紙・セルロースなどを活用した新素材を実用化したい
- リサイクル困難な複合素材の再資源化技術を持っている
- 新しいケミカルリサイクル等のプロセスを実証したい
- 廃棄物やバイオマスから燃料原料を製造したい
- 廃溶剤・廃潤滑油等のリサイクル技術を実用化したい
- 大学・企業で共同実証を行いたい
- 研究開発した技術を社会実装段階へ進めたい
申請前に整理したい7つのポイント
- 解決すべき技術的課題が明確になっているか
- 単なる研究開発や設備導入ではなく実証になっているか
- 国内のエネルギー起源CO₂削減につながるか
- 実証後の原料調達方法を確保できるか
- 再生材・製品等の利用先や販売先を想定できているか
- 実証後の社会実装・事業化の方法を説明できるか
- GビズID・jGrantsによる申請準備ができているか
この補助事業では、「新しい技術だから採択される」というわけではありません。
技術的な新規性だけでなく、CO₂削減効果、資源循環への貢献、実証後の事業化まで含めて計画することが重要です。
よくある質問
補助率はいくらですか?
2026年度は、対象となる設備費・業務費等について1/3または1/2以内が補助されます。適用される補助率は事業者の区分等によって異なるため、公募要領をご確認ください。
補助上限額はいくらですか?
執行団体のFAQでは、1件あたりの上限額は設定されていないとされています。ただし、経費の根拠や妥当性等の審査を経て補助金額が決定されます。
新しいリサイクル設備を購入するだけでも対象になりますか?
設備導入だけで目的が達成される事業は対象外です。社会実装に向けた技術的課題があり、その解決のための実証を行う必要があります。
大学と企業の共同実証もできますか?
はい。複数事業者による共同事業で申請することが可能です。大学も対象者として明記されています。
実現可能性調査だけでも対象になりますか?
いいえ。執行団体のFAQでは、FS(実現可能性調査)や事前検討だけの事業は対象外とされています。
他の国の補助金と併用できますか?
執行団体のFAQでは、他の国の補助金との併用はできないとされています。
まとめ|「技術開発」から「社会実装」へ進む企業を支援
プラスチック等資源循環システム構築実証事業は、バイオプラスチックへの素材転換、リサイクル困難素材の再資源化、廃棄物由来ジェット燃料、廃油リサイクルなどの実証を支援する制度です。
2026年度は、対象経費の1/3または1/2以内が補助され、第3次公募は9月15日まで実施されています。
一方で、単なる研究開発、FS、設備購入だけの事業は対象になりません。
「技術を開発する」段階から一歩進み、実証によって技術課題を解決し、その後の原料調達・製品利用・事業化まで具体化することが、この制度を検討するうえで重要です。
資源循環・新素材の実証に使える補助金を知りたい方へ
資源循環分野では、素材開発、リサイクル設備、実証事業、脱炭素設備など、事業のフェーズや内容によって利用を検討できる支援制度が異なります。
「開発した技術の実証に使える補助金を知りたい」「リサイクル事業の事業化を進めたい」「自社の取り組みが補助対象になるか確認したい」といった場合は、Saluteへご相談ください。
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参考・出典
※本記事は2026年8月26日時点で環境省および一般社団法人日本有機資源協会が公開している令和8年度「脱炭素型循環経済システム構築促進事業(うち、プラスチック等資源循環システム構築実証事業)」の公式情報をもとに作成しています。補助対象者、対象事業、補助対象経費、補助率、公募期間等は変更される場合があります。申請の際は必ず最新の公募要領・交付規程等をご確認ください。