「物流データ連携促進支援事業」は、複数の荷主・物流事業者等がデータを連携し、共同輸配送や帰り荷の確保、保管・輸送経路の最適化などに取り組むことで、物流の効率化と物流DXを促進する国土交通省の補助事業です。
「トラックの積載率を高めたい」「複数企業で共同配送を行いたい」「TMSやWMSのデータを連携したい」「荷待ち時間や配車作業を減らしたい」と考えている企業にとって、確認しておきたい制度です。
2026年度は、対象経費の1/2以内、1協議会あたり最大4,000万円が補助されます。
第3次公募は2026年8月7日から開始されており、応募期限は2026年9月18日(金)17:00必着です。
この記事では、2026年8月時点の公式情報をもとに、物流データ連携促進支援事業の仕組み、補助率・補助上限額、対象事業者、対象となる取り組み、申請前に確認したいポイントをわかりやすく解説します。
物流データ連携促進支援事業とは?
物流データ連携促進支援事業は、正式には「中小物流事業者の労働生産性向上事業費補助金(共同輸配送や帰り荷確保等のための物流データ連携促進支援事業)」といいます。
複数の荷主企業や物流事業者、物流ソリューション提供者等が連携し、物流・商流情報を共有するためのプラットフォームを構築・運営する取り組みを支援します。
その際に重要となるのが、国が策定している「物流情報標準ガイドライン」です。
このガイドラインを活用して企業間の物流データを標準化・連携し、共同輸配送や帰り荷確保などにつなげることで、積載率の向上や物流DXを促進することが制度の目的です。
補助率1/2・最大4,000万円
2026年度の補助率と補助上限額は、次のように設定されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 対象経費の1/2以内 |
| 補助上限額 | 1協議会あたり4,000万円 |
| 事業完了期限 | 2027年2月19日 |
例えば、補助対象として認められるシステム導入費が5,000万円の場合、補助率1/2では2,500万円となります。
補助対象経費が大きい場合でも、1協議会あたりの補助上限は4,000万円です。
最大の特徴は「企業間のデータ連携」
この補助事業のポイントは、単に物流システムを導入することではありません。
従来、荷主企業や物流事業者がそれぞれ異なるデータ形式やシステムを使用している場合、企業をまたいだ情報共有が難しくなることがあります。
そこで、物流情報標準ガイドラインに準拠した形式でデータを連携し、複数企業が物流情報を活用できる環境を構築します。
「自社だけをDXする」のではなく、「複数企業をデータでつなぎ、物流全体を効率化する」ことが、この補助事業の大きな特徴です。
どんな取り組みが対象になる?
公式サイトでは、補助対象として想定される事業テーマとして、次のような取り組みが示されています。
| 取り組み | 期待される効果 |
|---|---|
| 配送情報の可視化 | 積載効率向上・車両台数削減 |
| 共同保管・共同配送 | 積載効率向上・荷受作業時間削減 |
| TMS・WMSのデータ連携 | 積載効率向上・配車作業時間短縮 |
| バース予約システム | 荷役・荷待ち時間短縮 |
| 荷主・荷受人間のデータ連携 | 検品等の荷受作業時間短縮 |
実際に対象となる事業内容や経費については、最新の公募要領に基づいて確認する必要があります。
共同輸配送で「空気を運ぶトラック」を減らす
物流効率化を考えるうえで重要になるのが、トラックの積載効率です。
荷主ごとに個別配送を行えば、十分な荷物を積載できないままトラックを走らせるケースが発生する可能性があります。
複数の荷主が配送情報を共有し、同じ方面へ向かう荷物をまとめることができれば、共同輸配送によって積載効率の向上を図れます。
本事業では、このような物流データの連携を前提とした共同輸配送の実証が支援対象となっています。
「帰り荷」を確保して空車運行を減らす
トラックが荷物を届けた後、帰りに運ぶ荷物がなければ空車で走行することになります。
しかし、複数企業の配送情報を共有できれば、帰路で運べる別の荷物を探しやすくなります。
本事業では、データ連携を活用した帰り荷の確保も物流効率化の取り組みとして明示されています。
往路だけでなく復路まで含めて輸送を最適化することで、限られた車両やドライバーをより効率的に活用することにつながります。
TMS・WMSのデータ形式を統一する
物流DXでは、システムを導入するだけでなく、異なるシステム間でデータを共有できることが重要です。
TMS(輸配送管理システム)やWMS(倉庫管理システム)を企業ごとに使用していても、データ形式が異なれば企業間の連携に手間がかかります。
物流情報標準ガイドラインに準拠したデータ形式へ統一することで、荷主・物流事業者間の情報連携を円滑にし、配車や輸配送、倉庫業務の効率化につなげることができます。
公式サイトでも、TMSの導入やWMSのデータ形式統一が想定される事業テーマとして示されています。
バース予約で荷待ち時間を削減
物流施設では、複数のトラックが同じ時間帯に集中すると、荷積み・荷卸しを行うバースが空くまで待機時間が発生します。
バース予約システムを活用すれば、トラックの到着時間や荷役時間を事前に調整し、車両の集中を抑えることができます。
本事業では、バース予約システムの導入も想定される事業テーマの一つとして示されており、KPIとして荷役作業時間・荷待ち時間の短縮が挙げられています。
荷主企業2社以上を含む「協議会」が必要
この補助事業は、一企業だけで申請する一般的なIT導入補助金とは仕組みが異なります。
補助対象となるのは、物流に関係する事業者によって構成された荷主企業2社以上を含む協議会です。
想定されている構成は次のとおりです。
- 荷主企業:2社以上必須
- 物流事業者:貨物運送事業者・倉庫事業者など
- 物流システム事業者など、その他物流に関係する組織
なお、公式サイトでは対象事業者を中小企業に限定する事業ではないことも明記されています。
「物流情報標準ガイドライン」への準拠が重要
この制度を理解するうえで欠かせないのが、物流情報標準ガイドラインです。
物流情報標準ガイドラインでは、物流業務で使用する情報を企業間で円滑に連携できるよう、データ形式などの標準化が進められています。
本事業では、このガイドラインに準拠するシステムを実際の物流現場で運用し、共同輸配送に取り組む実証事業が対象となります。
単に新しい物流システムを購入するのではなく、「標準化されたデータを企業間でどう活用して物流を改善するのか」まで設計する必要があります。
第3次公募は9月18日17時まで
2026年度の第3次公募は、2026年8月7日14時から開始されています。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 第3次公募開始 | 2026年8月7日 14:00 |
| 応募締切 | 2026年9月18日 17:00必着 |
| 交付決定 | 2026年10月中旬頃予定 |
| 事業完了期限 | 2027年2月19日 |
協議会の構成やシステム連携の内容を整理する必要があるため、申請直前から準備するのではなく、早い段階で参加企業との調整を進めることが重要です。
こんな企業は確認したい
- 複数企業で共同輸配送を検討している
- トラックの積載効率を向上させたい
- 帰り荷を確保して空車運行を減らしたい
- TMSやWMSのデータを企業間で連携したい
- 配車業務を効率化したい
- バース予約によって荷待ち時間を削減したい
- 荷主・物流事業者間の情報共有を効率化したい
- 物流DXを複数企業で進めたい
申請前に確認したい7つのポイント
- 解決したい物流課題を明確にする
- 荷主企業2社以上を含む協議会を構成できるか確認する
- 物流事業者・システム事業者等の役割を整理する
- 物流情報標準ガイドラインへの準拠方法を確認する
- どの物流データを企業間で共有するのか整理する
- 積載率・作業時間などの改善効果を設定する
- 9月18日の申請期限までに必要書類を準備する
特に複数企業が参加する事業では、自社だけで計画を決めることができません。参加企業の役割やデータ連携方法、実証後の運用まで事前に整理することが重要です。
よくある質問
補助率はいくらですか?
補助率は対象となる経費の1/2以内です。
最大いくらまで補助されますか?
1協議会あたり4,000万円が補助上限額です。
企業1社だけでも申請できますか?
対象となるのは、荷主企業2社以上を含み、物流事業者など物流に関係する事業者によって構成された協議会です。
中小企業だけが対象ですか?
公式サイトでは、対象事業者を中小企業に限定する事業ではないと明記されています。具体的な対象要件は最新の公募要領をご確認ください。
TMSやWMSも対象になりますか?
公式サイトでは、TMSの導入やWMSのデータ形式統一が想定される事業テーマとして示されています。ただし、実際のシステムや経費が補助対象となるかは公募要領等で個別に確認する必要があります。
第3次公募の締切はいつですか?
2026年9月18日(金)17:00必着です。
まとめ|物流DXは「1社の効率化」から「企業間の最適化」へ
物流データ連携促進支援事業は、複数の荷主・物流事業者等がデータを共有し、共同輸配送や帰り荷確保などによって物流全体を効率化する取り組みを支援する制度です。
2026年度は補助率1/2以内、1協議会あたり最大4,000万円が補助されます。
TMS・WMSのデータ連携、配送情報の可視化、バース予約など、物流DXを具体的な業務改善につなげる取り組みも想定されています。
個々の企業が別々に物流を効率化するだけでなく、標準化されたデータによって企業同士をつなぎ、共同輸配送や積載率向上につなげることが、この制度を活用するうえで重要なポイントです。
物流DX・システム導入に使える補助金を知りたい方へ
物流分野では、データ連携だけでなく、物流設備、配送効率化、省エネ、システム導入など、取り組みの内容に応じた複数の支援制度があります。
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参考・出典
※本記事は2026年8月26日時点で国土交通省および物流データ連携促進支援事務局が公開している令和8年度「共同輸配送や帰り荷確保等のための物流データ連携促進支援事業」の公式情報をもとに作成しています。補助対象事業者、補助対象経費、補助率、補助上限額、公募期間等は変更される場合があります。申請の際は必ず最新の公募要領・交付規程等をご確認ください。