経営力向上計画は、中小企業・小規模事業者等が、人材育成やコスト管理、設備投資などによって自社の経営力を向上させるための計画を作成し、国の認定を受ける制度です。
「新しい機械を導入したい」「生産設備を更新したい」「設備投資とあわせて税制優遇も検討したい」と考えている企業にとって、補助金とあわせて確認しておきたい制度の一つです。
認定を受けた事業者は、一定の要件を満たす設備投資に関する税制措置や、融資・信用保証などの金融支援、事業承継等に関する支援措置を利用できる場合があります。
この記事では、中小企業庁が公開している公式情報をもとに、経営力向上計画とは何か、認定を受けるメリット、設備投資で利用できる支援措置、申請前に確認しておきたいポイントをわかりやすく解説します。
経営力向上計画とは?
経営力向上計画とは、中小企業等経営強化法に基づき、中小企業・小規模事業者等が自社の経営力を向上させるために策定する計画です。
中小企業庁では、人材育成、コスト管理などのマネジメント向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画としています。
計画を作成して事業分野ごとの主務大臣から認定を受けることで、計画を実行するための各種支援措置を利用できる場合があります。
補助金のように設備購入費の一部が直接支給される制度ではなく、企業の生産性向上に向けた計画を認定し、その実行を税制や金融面などから支援する制度です。
認定を受けるとどんなメリットがある?
経営力向上計画の認定を受けた事業者には、計画を実行するための複数の支援措置が用意されています。
| 支援 | 主な内容 |
|---|---|
| 税制措置 | 認定計画に基づき取得する一定の設備等について税制上の特例を利用できる場合がある |
| 金融支援 | 政策金融機関の融資、信用保証など資金調達に関する支援 |
| 事業承継等への支援 | 一定の事業承継等について税制・法的な支援措置を利用できる場合がある |
| 法的支援 | 一定の場合に許認可承継などの特例措置を利用できる |
どの支援を利用できるかは、企業の状況、計画内容、設備、事業承継の有無などによって異なります。
設備投資で注目したい「中小企業経営強化税制」
設備投資を予定している企業が特に確認したいのが、中小企業経営強化税制です。
経営力向上計画の認定を受け、一定の要件を満たす設備を取得する場合には、法人税・所得税に関する税制措置を利用できる場合があります。
対象となる設備や取得時期、手続きなどには詳細な要件があります。
そのため、
- 工作機械を導入する
- 製造設備を更新する
- 業務用設備を導入する
- 生産能力を高める設備投資を行う
- 事業拡大に伴い大規模な設備投資を行う
といった計画がある場合は、設備を購入する前に制度の適用可能性を確認しておくことが重要です。
「補助金」と「税制優遇」は何が違う?
設備投資を支援する制度には、補助金だけでなく税制措置もあります。
| 項目 | 補助金 | 税制措置 |
|---|---|---|
| 基本的な仕組み | 対象経費の一部を補助 | 一定の税制上の特例を適用 |
| 主な目的 | 設備投資や新規事業等を資金面から支援 | 設備投資等を税制面から支援 |
| 手続き | 公募・申請・審査等 | 認定や証明等の所定の手続き |
| 注意点 | 採択されない場合がある | 設備・企業・取得時期等の適用要件がある |
どちらが有利かを一律に判断することはできません。
自社の設備投資計画、資金状況、税務状況、利用する制度の要件などを踏まえて検討する必要があります。
経営力向上計画には何を書く?
経営力向上計画では、単に「設備を購入したい」という内容だけではなく、自社の現状と今後どのように経営力を向上させるのかを整理します。
中小企業庁の手引きでは、主に次のような内容を計画に記載します。
- 企業の概要
- 自社の現状認識
- 経営力向上の目標
- 経営向上の程度を示す指標
- 経営力向上の具体的な取り組み
- 事業承継等を行う場合は、その時期や内容
中小企業庁は、申請書様式について3枚程度と案内しています。
設備を入れる「理由」を明確にする
経営力向上計画を考えるときに重要なのは、設備そのものではなく、設備によって経営をどう改善するかです。
例えば新しい製造設備を導入する場合、
- 現在の生産工程にどのような課題があるのか
- 設備導入によって何が改善されるのか
- 生産能力はどの程度向上するのか
- 作業時間やコストを削減できるのか
- 売上や利益の向上にどうつながるのか
といった流れを整理します。
「設備を買う計画」ではなく、「設備投資によって経営力を向上させる計画」として考えることがポイントです。
金融支援も利用できる場合がある
大きな設備投資では、税制措置だけでなく資金調達も重要になります。
経営力向上計画の認定事業者には、政策金融機関による融資や、民間金融機関から融資を受ける際の信用保証など、資金調達に関する支援措置が用意されています。
ただし、計画の認定を受ければ自動的に融資が決定するわけではありません。
実際の融資等については、各金融機関や保証機関による審査等があります。
設備投資額が大きい場合は、「設備」「税制」「補助金」「融資」を別々に考えるのではなく、一つの投資計画として整理することが重要です。
認定経営革新等支援機関に相談することもできる
経営力向上計画は、事業者自身で作成することもできますが、計画策定について専門家等の支援を受けることもできます。
中小企業庁では、認定経営革新等支援機関による計画策定支援を案内しています。
認定経営革新等支援機関には、商工会議所・商工会・中央会、地域金融機関、税理士などの士業・専門家等があります。
特に税制措置を利用する場合には、設備の要件だけでなく税務上の取り扱いも関係するため、必要に応じて税理士等へ確認することが重要です。
設備を購入してから申請すればいい?
経営力向上計画や関連する税制措置を利用する場合は、設備取得と認定・証明等の手続きの順序に注意が必要です。
利用する支援措置によって、設備取得前に必要となる手続きや、取得後の申請に関する期限などが定められています。
そのため、設備を購入してから「利用できる税制優遇はないか」と探すのではなく、設備投資を決定する段階で制度を確認することが重要です。
設備の発注・取得時期を決める前に、最新の手引きや適用要件を確認してください。
こんな企業は経営力向上計画を確認したい
- 新しい製造設備を導入する予定がある
- 老朽化した設備を更新したい
- 生産性向上のための設備投資を考えている
- 設備投資額が大きい
- 設備投資に利用できる税制措置を知りたい
- 設備投資に伴い融資を検討している
- 今後数年間の設備投資計画を作りたい
- 事業承継と設備投資を検討している
特に設備投資を予定している中小企業では、補助金だけを探すのではなく、税制や金融支援を含めて利用可能な制度を確認することが重要です。
設備投資前に確認したい6つのポイント
- 自社が制度の対象となる事業者か
- どの設備を導入する予定なのか
- 設備導入によって経営をどう改善するのか
- 利用したい税制・金融支援の要件を満たすか
- 認定や証明等の手続きをいつ行う必要があるか
- 設備の発注・取得時期に問題がないか
特に設備取得のタイミングと各種手続きの順序は重要です。実際に設備を発注・取得する前に、最新の制度内容を確認してください。
よくある質問
経営力向上計画は補助金ですか?
いいえ。経営力向上計画そのものは、設備購入費等が直接支給される補助金ではありません。計画の認定を受けることで、一定の要件のもと税制・金融・法的支援等を利用できる制度です。
設備投資をしなくても申請できますか?
経営力向上の取り組みは設備投資だけに限定されておらず、人材育成やコスト管理などのマネジメント向上も制度上想定されています。ただし、利用したい支援措置によって要件は異なります。
認定されれば必ず税制優遇を受けられますか?
経営力向上計画の認定だけですべての税制措置が自動的に適用されるわけではありません。それぞれの税制措置について対象者、対象設備、取得時期などの要件を満たす必要があります。
認定されれば融資も必ず受けられますか?
いいえ。経営力向上計画には金融支援がありますが、融資等については金融機関等による審査があります。
補助金と一緒に検討できますか?
設備投資では、補助金・税制・融資など複数の支援策を検討できます。ただし、各制度の併用可否や対象経費等については、それぞれの制度の最新要件を確認する必要があります。
まとめ|設備投資は「補助金+税制+金融支援」で考える
経営力向上計画は、中小企業・小規模事業者等が自社の経営力向上に取り組むための計画を国が認定する制度です。
認定事業者は、一定の要件を満たす場合、設備投資に関する税制措置や資金調達に関する金融支援などを利用できます。
設備投資を考える際には、「使える補助金はいくらか」だけで判断するのではなく、税制措置や融資を含めて投資全体を設計することが重要です。
「設備を購入してから制度を探す」のではなく、「設備投資を計画した段階で利用できる支援制度を調べる」ことが、制度を有効活用するためのポイントです。
設備投資に使える支援制度を知りたい方へ
設備投資では、補助金だけでなく税制措置や融資など、複数の支援制度を利用できる可能性があります。
「自社の設備投資に使える補助金を知りたい」「どの制度を選べばいいかわからない」「設備を購入する前に利用できる制度を確認したい」といった場合は、Saluteへご相談ください。
Saluteは補助金申請をトータルサポートします。
自社の事業内容や設備投資計画に適した制度の選定から、事業計画書・申請書類の作成、提出手続きまで、専門家が丁寧にご支援いたします。
参考・出典
※本記事は2026年8月時点で中小企業庁等が公開している公式情報をもとに作成しています。対象事業者、対象設備、税制措置、金融支援、申請手続き等の要件は変更される場合があります。また、税制措置の適用については個別の税務判断が必要となる場合があります。実際に制度を利用する際は、必ず最新の公式資料を確認し、必要に応じて税理士等の専門家へご相談ください。